2016年5月2日月曜日

ヴィジット

ヴィジット
The Visit
2015年 アメリカ 94分
監督:M・ナイト・シャマラン

高校の代用教員と恋に落ちて19歳で家出をして二人の子供をもうけたあと、夫が駆け落ちしてシングルマザーになった女性がいて、両親とは音信不通になっていたところを両親がネットで娘を見つけて連絡を取り、実家に戻りたくない母親の代わりに15歳の娘と13歳の息子が一週間の家で祖父母を訪問することになり、このベッカとタイラーの二人が列車に乗って出かけていくと老夫婦が現われて二人を迎え、あれこれと歓待してくれるものの、まず祖母の様子がおかしいことに気づいて祖父に理由をたずねると祖母は日没症候群だということになり、次に祖父の様子もおかしいことに気づいて祖母に理由をたずねると祖父は下の始末に問題があるのを隠しているということになり、いずれにしても老人だからそういうことかと納得しようとしていても、納得し切れないほど様子がおかしいので、姉と弟は激しく困惑する。 
主役の姉と弟は非常に印象的な演技をしているし、祖父母役の二人もたいへんな演技をしていると思う。古典的な演出はよくまとまっている。ただ母親と祖父母の和解をもくろむベッカが一連の出来事を映画にするためにカメラを回し続ける、という設定でPOV形式になっていて、いちいち都合のよい場所にカメラが放置されるのはやはりご都合主義というべきであろう。実を言えば少々まだるっこしさを感じていた。このまだるっこしさはたった一つのネタを出し惜しみしているあたりとも無関係ではないだろう。オープニングのロゴの不自然なほどの古めかしさを見ていくらか不安を感じたが、素材に対するアプローチもまた不自然なほど古めかしくて、わたしの感覚からすると倫理的に問題がある。いまどきあれはないだろう、というのが正直な感想である。 


Tetsuya Sato