2015年9月7日月曜日

Plan-B/ 蛙

S7-E30
 昔むかし、海と空の向こうの国に蛙に変えられた王様がいた。蛙に変えられた王様は沼の真ん中の小さな島でほかの蛙と暮らしていた。あるとき、ここに一人の勇者がやって来た。勇者は冒険の旅の途中だった。蛙に変えられた王様は喉をごくりごくりと動かしながら勇者に言った。もしもとの姿に戻ることができたなら、王国の半分を差し上げよう。勇者はうなずいて旅を続けた。旅をしながら答えを探した。蛙に変えられた王様をもとの姿に戻すには、いったい何をどうすればよいのか。山の魔法使いは知らなかった。川の魔法使いも知らなかった。呪われた森の魔女たちも首を切り落とされる前に首を振った。勇者はここで首をかしげた。そもそも王様はなぜ蛙に変えられたのか。勇者は町を訪れて人々にたずねた。すると人々は胸を張り、民意によって、と勇者に答えた。

Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.