2015年9月27日日曜日

バトル・オブ・モンスターズ

バトル・オブ・モンスターズ
Tiktik: The Aswang Chronicles
2012年 フィリピン 104分
監督:エリック・マッティ

チンピラ以外の何かにはまったく見えないマッコイという若者がマニラから田舎にやって来て(側車付き自動二輪に乗っている)、実家に帰っていた恋人ソニアに関係の修復を求めるが、マッコイとの関係ですでに臨月となっているソニアはマッコイの要求を拒絶、ソニアの母親もまたマッコイを激しく拒絶、ソニアの誕生日を祝うために鶏を仕入れて戻ってきた父親はなぜかマッコイを受け入れて、ソニアの誕生日のために豚を提供したいと申し出たマッコイとともに市場へ出かけて、豚が安く手に入るということでさらに山間の村を訪れるが、マッコイが強引に値切りに出たせいで交渉に失敗、手ぶらで帰ろうとしたところへ豚飼いの子供がやって来て安く売ると言うので、マッコイはここでも強引に値切って豚を手に入れ、ソニアの父親とともにソニアの実家に戻り、ソニアとソニアの母親からまだいるのかと罵られながら食事をし、ソニアの父親と使用人のバートと酒などを飲んで歌っていると、台所では買ってきた豚が変身を解いて牙が生えた吸血鬼の正体を現わしてソニアに襲いかかり、騒ぎになってマッコイが飛び込んできて吸血鬼を殺し、そこへ豚飼いの一家がやって来て、息子を殺されたことを知った豚飼いは復讐を誓い、ソニアの腹の中の子供を食ってやると宣言するので、ソニアの母親は全部おまえのせいだとマッコイをなじり、マッコイは豚飼い一家と戦うために外へ飛び出し、近くにある軍の検問所まで逃げてそこにいた大尉に吸血鬼の出現を告げるが、豚飼いは大尉と旧知の関係にあったので疑いを持たれずに近づいて大尉を殺害、豚飼いの子供たちも牙を剥いて兵士たちを殺害、ソニアの家に戻ったマッコイはソニアの一家とともに豚飼いの一家と戦い、相手の顔にニンニクを擦り込む、塩を投げつける、銃で撃つ、などの方法で豚飼いの子供たちを全滅させると豚飼いの父親が一族郎党を連れて現われて復讐を誓い、ソニアの腹の中の子供を食ってやると宣言するので、ソニアの父親は全部おまえのせいだとマッコイをなじり、一方、豚飼いの父親の一族郎党は豚飼いの父親の唾液を舐めて化け物に変身し、数を頼みに襲ってくるので、アカエイのしっぽ、スパイシーなスナック、背負い型の農薬散布機(ニンニクと塩が仕込んである)などで反撃する。 
原題にあるティクティクはフィリピンの妖怪で、長い舌で赤ん坊を食べるということになっているらしい。撮影がおそらくほぼすべてセットでおこなわれていて、背景はグリーンスクリーンの合成か、リアプロジェクションまたはホリゾントで、背後に雑踏などがある場合にはリアプロジェクションが、動きがない場合にはホリゾントが使われている。最初は少し戸惑ったが、古典的な手法が不思議なくらい新鮮に見えた。特にホリゾントは水準が高い。主人公が乱暴なだけで魅力に乏しく、展開も少々だらだらとしているが、絵を作ろうという努力は感じられる。 


Tetsuya Sato