Plan-B/ 魔法

S7-E28

魔法

　昔むかし、海と空の向こうの国で輝くように美しい娘が継母と一緒に暮らしていた。父親は継母に毒を盛られて殺された。父親の財産は会ったこともない従兄弟が相続した。外国から来たばかりの継母はその国に女子相続権がないのを知らなかった。だから美しい娘と継母は屋敷から追い出されて貧困層に転落して、不潔な穴ぐらのような場所に部屋を借りて、いがみ合って暮らしていた。娘が継母を愚か者と罵れば、継母は娘を役立たずと罵った。森の妖精たちは美しい娘を哀れに思って、不思議な力を娘に与えた。娘が笑うと食卓がご馳走でいっぱいになった。娘が涙を流すと頬を伝う涙が宝石に変わった。娘が髪を梳かすと髪から金貨があふれてこぼれ落ちた。ところが娘は継母を罵るのに忙しくて、魔法の力に気がつく暇がなかった。怒っていたので笑わなかったし、怒っていたので泣かなかった。怒ってばかりいたので、髪を梳かす暇すらなかった。

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