2015年5月27日水曜日

Plan-B/ 兵器

S5-E25
兵器
 彼は戦場で手足を失い、内臓の半分を失い、顔と性器を失った。彼は後方に運ばれて手術を受けた。医師たちは彼の痛覚を遮断し、彼からさらに多くの部分を取り除いた。手術が終わると医師たちは彼を小さなカプセルに入れた。顔であった部分は酸素マスクで覆われていた。頭には無数の電極が差し込まれた。流動食を運ぶチューブが胃につながれ、排泄物を運ぶチューブが消化管の端につながれた。液体で満たされたカプセルのなかで、彼は悪夢の底から這い上がった。カプセルの小窓から外が見えた。人体を模した金属製の機械が彼と向き合っていた。機械の胸のあたりにくぼみが現われ、そこに彼のカプセルがはめ込まれた。彼は失った自分の手足を思い起こし、心のなかで腕を広げて歩き出した。すると機械がそのように動いた。新たな銃が与えられた。扉の向こうには戦場へつながる道があった。彼は恐れを知らなかった。

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