2015年5月17日日曜日

アイアン・メイデン 血の伯爵夫人バートリ

アイアン・メイデン 血の伯爵夫人バートリ
Bathory
2008年 スロヴァキア/ハンガリー/チェコ/イギリス/フランス 135分
監督:ジュラジ・ジャクビスコ

1575年、トランシルヴァニアのエリザベート・バートリはハンガリー貴族フェレンツと結婚、フェレンツがオスマントルコとの戦争で出征するあいだにミラノ出身の画家と出会って関係を持ち、1604年、夫が亡くなるとハンガリー副王トゥルゾーがエリザベートの財産をねらって陰謀を画策、大量殺人の容疑を捏造する、というような内容で、ミラノの画家がなぜかカラヴァッジョだったり、カトリックの密偵があれやこれや秘密兵器を使ったりとか、妙な要素が盛り込まれていて、エリザベート・バートリ本人については恋もするし苦悩もするふつうのご婦人だったということになっているけれど、当時のハンガリーの、そもそも血の気が多い上にあっちにはオスマントルコ、こっちにはハプスブルク、手元でも内輪もめ、というややこしい状況のなかでふつうでいるのはかなり難しかったのではないかという気がしないでもない。アンナ・フリエルはヒロインを熱演しているが、そういうわけでリアルな人物には見えてこない。時代考証は寄せ集めだが、雰囲気を出そうとがんばっているし、オスマントルコとの微妙に素人くさい戦闘シーンもそれらしくて決して悪くないものの、だれ場が目立つ。

Tetsuya Sato