2013年1月29日火曜日

地上より永遠に

地上(ここ)より永遠に
From Here to Eternity
1953年 アメリカ 118分
監督:フレッド・ジンネマン

1941年のハワイ。スコフィールド陸軍基地にロバート・E・リー・プルーイットという二等兵が到着し、G中隊に配属される。G中隊の中隊長ホームズ大尉は連隊のボクシングコーチで、プルーイットを自分のチームに入れようとするが、理由があってボクシングをやめたプルーイットは大尉の誘いを拒絶する。そこで大尉はプルーイットを不当に扱い、頑固なプルーイットがあくまでも誘いを拒否するといよいよ大尉のほうでも執拗になり、という合間に中隊の先任軍曹ミルトン・ウォーデンは大尉の妻カレンを寝取り、そのウォーデンから休暇をもらったプルーイットは町のクラブで働くロリーンといい仲になり、プルーイットと親しい二等兵アンジェロ・マジオは行き掛かりから軍刑務所のジャドソン軍曹に目を付けられる。
有能なウォーデン軍曹がバート・ランカスター、大尉の美しい妻がデボラ・カー、頑固なプルーイット二等兵がモンゴメリー・クリフト、友達のマジオがフランク・シナトラ。ちなみに『ゴッドファーザー』で事実上のシナトラとして登場する歌手ジョニー・フォンテーンが出たがっていたのがこの『地上より永遠に』だとされている。
話の上で目立つのは二人の女性キャラクター、カレンとロリーンの明確な自己規定と改革認識で、対照的にウォーデン、プルーイットはどちらも軍隊内に自分を位置づけて安住し、変化を拒もうとする。実際、有能な上に精悍なウォーデン軍曹はカレンに将校になれと言われて死ぬほど悩み、とうとう死ぬ気になって道の真ん中で酒を飲み始めるのである。そういうものであろう、という気もしないでもない。登場人物は苦悩を抱え、あるいは痛みを抱え、それでも日常を続けようと試みていると、日本軍の奇襲攻撃が始まって男どもはようやく具体的な目的を得る。ウォーデン軍曹があそこで口を開けて喜んでいたのは、日本軍機を一機撃墜したというそれだけでの理由からではないと思う。人物は確実に作り込まれ、語り口にはよどみがなく、しかも美しい。
地上より永遠に [DVD]

Tetsuya Sato