2013年1月24日木曜日

レッド・アフガン

レッド・アフガン
The Beast
1988年 アメリカ 104分
監督:ケヴィン・レイノルズ

ひどい邦題がついているが、実に骨の太い戦争映画なのである。
冒頭の村の襲撃シーンの緊張感がまず素晴らしい。そしてアフガニスタンの男たちは村を襲った戦車を旧式の銃を携えて徒歩で追跡し、その後をさらに怒り狂った女たちが爆薬を持って追いかける。ソ連の兵士たちは疲弊し、堕落し、反目を繰り返し、戦車のブレーキオイルは酒の代わりに飲まれてしまっている。上官に憎まれて荒野に放り出された運転手はアフガンの男たちに拾われ、自らもまた「戦車」に復讐すべく、RPGを抱えて追跡の列に加わっていく。
ストーリーは魅力的で、すべてのシーンが素晴らしい。ロケのほとんどはイスラエルでおこなわれたようで、実物戦車(T-54/T-55改造のチラン)が縦横に走りまわる。;話の方は旧約聖書の「ダビデとゴリアテ」が実に見事に移植されていて、ゴリアテ=戦車は最後に石で倒され、すべてを見届けた天使は昇天するという落ちまでついている。とにかく傑作なのである。オリジナルの舞台劇というのも機会があったら見てみたいものだ。




Tetsuya Sato