2012年2月19日日曜日

アイス・コング

アイス・コング(2006)
The Abominable
監督:パトリック・ドナヒュー


動物保護運動の活動家をしている女性アリーが邪悪な密猟者ジャコを追い詰めていた頃、アリーの父親の動物写真家は北極圏で体長18メートルの未知動物を撮影するために船をチャーターしていたが、その船はすでに密猟者ジャコによって仕切られていて、抵抗した動物写真家は殺害され、そこへ飛び込んできた娘アリーは船に乗せられて北極へ連れ去られる。北極へ到着するとジャコとその一味は謎の生物の探索に取り掛かり、アリーもまたその探索行に参加するが、なだれに遭遇してひとりを失い、野営地に戻るとそこへ巨大な雪男が出現する。ジャコは雪男を麻酔銃で仕留めて船に運び、船は雪男をサンフランシスコへ運び、そこで目覚めた雪男が暴れ始めて船倉を破り、町に上陸するので軍隊が出動する、というような話を一度も船に乗らず、一度も寒いところへ行かず、ほとんどセットも組まず、適当な観光写真かなにかをリアプロジェクション・スクリーンに大写しにして、それで船の上だったり北極だったり、あるいはサンフランシスコだったり、ということにして、役者がその前で学芸会以下の演技をする、しかも背景のスクリーンがよほど小さかったのか、カメラは登場人物をほぼ常にバストショット以上で捉えてすえっぱなし、という趣向の映画である。もう一歩推し進めていれば芸術映画になっていたかもしれない。当然ながら巨大雪男もスクリーンを背に肩をすくめているだけで、軍隊の出動シーンやパニックシーン、ヘリコプターの飛行シーンなどはそのへんのストックフィルムの使いまわし。これに比べると『北京原人の逆襲』などは百億倍くらい大作に見えてくる。
アイス・コング [DVD]

Tetsuya Sato