2014年8月31日日曜日

キリングゲーム

キリングゲーム
Killing Season
2013年 アメリカ/ベルギー 85分
監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン

1995年、アメリカおよびNATOのボスニア紛争でボスニアへ派遣されたフォード大佐はそこでセルビア人によるボスニア人虐殺の現場を目撃し、そのあまりの有様にセルビア人兵士を捕虜に取らないという方針を選択した結果、退役して現代に至っても心に癒えない傷を負うことになり、家族とも疎遠になって山間の小屋に引きこもって孤独な生活を送っていたが、そこへボスニア人と名乗る男エミル・コヴァチが現われてかつて同じ戦場にいたことを明かし、フォードはコヴァチを小屋へ迎え入れて二人で酒を酌み交わすことになり、フォードに狩猟の趣味があるのを知ったコヴァチは翌朝の鹿狩りにフォードを誘い、フォードは古傷の痛みを押してコヴァチとともに山に向かうが、そこでコヴァチの正体がセルビア人であり、元兵士でフォードと同じ場所にいたことが判明する。 
フォードがロバート・デニーロ、コヴァチがジョン・トラヴォルタ。映画としてのバランスはいいし、演出も無駄がないし、芸達者の二人が確実に役作りをして、互いを敵と見做しながら油断も隙もない戦いを繰り広げる様子はなかなかに楽しい。
ただ素材が素材だけに、しかも背景が背景なだけに、それにもちろんデニーロだから、ということもあって、いつの間にか前景も『ディア・ハンター』に重なってきて、そうするとこちらは意図について疑いを抱き始め、ベトナム戦争以上に単純には割り切れない材料をわざわざ選んできて、いったいこれは誰のための映画なのか、といったような余計なことも考えることになるので、そこがどうにも収まりが悪い。 


Tetsuya Sato