2014年8月23日土曜日

イントゥ・ザ・ストーム

イントゥ・ザ・ストーム
Into the Storm
2014年 アメリカ 89分
監督:スティーヴン・クエイル

6月、アメリカ中西部の町シルバートンに竜巻が次から次へと襲いかかり、建物を破壊し、車やひとを巻き上げ、最後には史上最大の竜巻も現れて旅客機を吸い上げ、町を粉微塵に打ち砕く。 
かなりの部分がPOVの映像で構成されていて、導入部ではどのような撮影機材がどのような人間によってどのように使われるのかがキャラクター描写にからめて説明され、見ているこちらもたとえばGoProのような機材がどのような馬鹿によってどのように扱われるのかが理解できる仕組みになっている。竜巻の描写は出し惜しみがなく、冒頭からすでに猛威を発揮しているし、本筋が始まってからは前兆現象から降臨にいたるまで、不穏な空気をまとって巧みに表現されている。
というわけで滑り出しの掴みは十分な仕上がりに達しているが、話が進み始めると見解の相違であるとか家族の絆の再確認であるといった、このたぐいの状況で必要不可欠とされる要素があまり考えずに盛り込まれている気配があって、そういうところがうざいと言えば少々うざい。形式として古典的な災害映画を踏襲していて、だからむごたらしい描写は控えめで見せるべきものはきちんと見せるという態度は好ましいものの、モダンな映像の隙間にはさみ込まれたいかにも手続き的な状況の拡散には多少のわずらわしさを感じていた。このあたりは『ツイスター』のほうがさばけていて気持ちよかったような気もするが、あちらが一種のスポ根ものであったとすれば、こちらは正攻法で災害映画をしているわけで、単純に比較することはできないだろう。


Tetsuya Sato