2012年11月24日土曜日

ニーベルンゲン

ニーベルンゲン
Die Nibelungen
1924年 ドイツ 286分
監督:フリッツ・ラング

第一部「ジークフリート」(140分)。ミーメのところで修業を終えたジークフリートは自らが鍛えた剣を手に森へ入り、どこから見てもとてもおとなしそうな竜を倒してその血を全身に浴びる。ジークフリートはこの血によって不死となるが、このとき背中に木の葉が張り付いていたため、その一点だけが急所となる。ジークフリートは途中、アルベリヒから隠れ頭巾を奪い、財宝を我が物とした上でブルグンドを訪れ、グンター王の妹クリームヒルトに求婚する。しかしグンター王はハーゲンの入れ知恵によって求婚に条件をつけるので、ジークフリートはグンター王とともにアイスランドを訪問、隠れ頭巾の力を使ってグンター王とブルンヒルトの結婚を実現し、自分もまたクリームヒルトと結婚してグンター王と義兄弟の契りを交わす。ところが強情なブルンヒルトはグンター王に従おうとしないため、ハーゲンの要求を受けたジークフリートは再び隠れ頭巾を使ってブルンヒルトをおとなしくさせるが、なおも尊大なブルンヒルトに対してクリームヒルトが事実を告げる。怒ったブルンヒルトはグンター王にジークフリートの殺害を求め、ハーゲンはクリームヒルトに近づいてジークフリートの弱点を聞き出してジークフリートを殺害する。
第二部「クリームヒルトの復讐」(146分)。憎しみによって鉄の女と化したクリームヒルトはジークフリート殺害の下手人ハーゲンの首を求めるが、グンター王があくまでも拒むので、フン族の王アッチラの求婚を受けてブルグンドを去る。そしてアッチラとのあいだに男児をもうけ、フン族の夏至の祭りに自分の兄弟たちを呼び寄せる。その上でアッチラにハーゲン殺害を求めるが、そもそも騎馬民族であるアッチラは歓待の掟を理由に譲ろうとしない。そこでクリームヒルトはフン族の戦士たちを金で私兵化し、宴会の最中にブルグンド王の随員たちを襲わせる。虐殺の知らせはブルグンドの生き残りによってアッチラの宮殿にもたらされ、するとなにを考えたのか、ハーゲンがいきなりアッチラの子を殺すので、事態はいよいよ紛糾する。クリームヒルトは嘆き悲しむアッチラとともに宮殿を離れ、宮殿の広間に残されたグンター王以下ブルグンドの一行は広間にいたフン族を掃討し、扉を閉ざして立て篭もる。するとクリームヒルトの私兵と化したフン族が数を頼みに襲い掛かり、これがフン族とも思えないことに何度となく撃退されるので、クリームヒルトは宮殿に火を放つ。
4時間40分はさすがにやや長いが、じわじわと話が進むのを眺めていると次第に気持ちがよくなってくる。クリームヒルトの特異なデザイン、ダイナミックな合成ショットで作られたアイスランド、フン族との攻防戦、と見どころが多く、絵作りにはこだわりがあり、特に第二部は不思議な躍動感にあふれている。それにしてもひとの家の家庭争議に巻き込まれたアッチラがなんだかかわいそうなのであった。 



Tetsuya Sato