2012年11月14日水曜日

エクソシスト

エクソシスト
The Exorcist
1973年 アメリカ 132分
監督:ウィリアム・フリードキン

74年の公開当時、中学生だったわたしはこれを劇場で観て、原作ほど面白くはないと感じて帰ってきた。実を言えば原作にしても悪魔学的な蘊蓄が面白いのであって、小説として格別面白いわけではない。
で、ディレクターズカット版で見直した結果なのだが、やはり面白くなかったのである。とにかく生彩がない。たとえば娘に異常が起こるまでの、エレン・バーステインの淡々とした日常描写は苛々するほど退屈である。で、異常が起これば多少はましになるかと言うと、ならないのである。人物にも画面にも魅力がないし、なによりも文脈がない。なんとなく話を継いでいるだけ、という感じで、たとえばリー・J・コッブの刑事の扱いもひどく中途半端なのである。公開当時、「緊張感」があると評された演出も底が浅い。人物を構図の中に埋め込んで、音を消しているだけなのである。かなり退屈しながらも最後まで見て、エンディング・クレジットもちゃんと最後まで見て、そこで「チューブラーベルズ」が見事に途中でぶっちぎられていることに気がついた。たしかに切りにくい音楽だとは思うけれど、いくらなんでもあれはなかろう。わたしはウィリアム・フリードキンと相性が悪い。 




Tetsuya Sato