2016年1月5日火曜日

トポス(67) ピュンはヒュンを仕留めにかかる。

(67)
 ピュンは息を切らして山に登って道を見下ろす崖に立った。ヒュンが来たら、崖の上から爆弾を落としてヒュンを仕留めるつもりだった。ヒュンが近づいてきた。ピュンは重たい爆弾を両手で抱えて、崖の縁に近づいていった。額に玉の汗を浮かべながら、腕が抜けるような思いを味わいながら、とうとう崖の縁にたどり着いた。その瞬間に足もとが割れて、ピュンは爆弾を抱えて、風を切って落ちていった。爆弾の撃発信管が地面を叩き、轟然と起こった爆発がピュンを雲の上まで吹き飛ばした。
 ピュンはもう一度山に登った。道を見下ろす崖の縁に腹這いになって、狙撃銃を構えていた。高倍率のスコープに目をあてがって、道の上のヒュンの姿を探し求めた。ところがヒュンが見つからない。ピュンは腹這いのまま、右や左へと角度を変えてヒュンを探した。それでもヒュンが見つからない。ふと思い立って、からだを一気にぐるりとまわして狙撃銃を背後に向けた。スコープにヒュンの姿が現われた。にやりと笑って狙撃銃の引き金に指をかけ、そこで自分が崖の外に出ていることに気がついた。ピュンは真っ逆さまに落ちていった。
 ピュンはもう一度山に登った。道を見下ろす崖の縁に腹這いになって、双眼鏡でヒュンを探した。道の上にヒュンを見つけて、それから狙撃銃に持ち替えた。高倍率のスコープに目をあてながら、初めからこうすべきだったとピュンは思った。ヒュンを狙って引き金を引いた。ところが何も起こらない。撃鉄が動く音は聞こえたが、必殺の弾が出てこない。ピュンはからだを起こして狙撃銃を軽く振った。レバーをがちゃがちゃと動かして、銃口を覗きながら台尻を落とした。台尻が地面に触れた瞬間に、必殺の弾が銃口から飛び出てピュンの頭を粉砕した。

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