2015年12月14日月曜日

トポス(50) ギュンは不満を感じている。

(50)
 ギュンが究極の魔法玉を完成させたので、ミュンはギュンを信頼した。しかしギュンはミュンに不満を感じていた。
「最初から感じていた」とギュンはいつも話していた。「予言者の力で予言を成就させるという目論見は、それはそれで立派なものだが」とギュンはいつも話していた。「予言者にこだわるあまり、ミュンは現実的な視点を失っていた。どれほど訓練しても、いかに数で圧倒しても、予言者は予言者に過ぎないのだ」とギュンはいつも話していた。「予言を成就させるのは予言者ではない。ミュンは自分のやり方でうまくいっていると信じていたが」とギュンはいつも話していた。「うまくいっているように見えたのは、わたしが作った魔法玉があったからだ」とギュンはいつも話していた。「実際のところ、もしわたしの魔法玉がなかったら」とギュンはいつも話していた。「ミュンは何一つ満足に事を運ぶことができなかった」とギュンはいつも話していた。「にもかかわらず、ミュンはわたしを魔法玉の調合師としてしか認めようとしなかった」とギュンはいつも話していた。「ミュンは現実的な視点を失っていた。現実的な視点を失って、わたしの利益を損なっていた」とギュンはいつも話していた。「だからわたしは自分の利益を守らなければならなかった」とギュンはいつも話していた。

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