2014年10月28日火曜日

スリー・キングス

スリー・キングス
Three Kings
1999年 アメリカ 115分
監督:デヴィッド・O・ラッセル

湾岸戦争停戦後、特殊部隊の少佐ジョージ・クルーニーが予備軍軍政中隊の兵隊を連れて、フセインの財宝を盗みにイラクへ侵入する。強盗行為を企んで敵地へ攻め込む話には第二次大戦を舞台にした『戦略大作戦』という傑作があり、似たような物を期待していたわたしとしては激しく肩透かしを食らった。
まず金塊を盗むという個人的な動機で出発した筈なのに、主人公たちはいくらもしないでヒューマニズムに取りつかれる。フセインによる圧政の悲惨が描かれ多国籍軍の空爆による悲惨が話題になり、金塊強奪の話はいつの間にやらどこかへ飛んで目的は難民救出に変わっている。そこに何かコミカルな要素を持ち込もうとする努力はあちらこちらに感じられるのだが、妙に切迫した深刻さの方が先に立って、まとまりが悪くて想像力の乏しいくそ真面目な映画になってしまっている。 

Tetsuya Sato