2014年1月15日水曜日

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
Pirates of the Caribbean: Dead Man's Chest
2006年 アメリカ 150分
監督:ゴア・ヴァビンスキー

エリザベス・スワンとウィリアム・タナーが結婚しようとしているところへ東インド会社の軍隊がジャマイカに上陸、総督府を事実上の支配下に置いてエリザベス・スワンとウィリアム・タナーを逮捕する(牢屋にぶち込まれたエリザベス・スワンが隣の監房の連中から噛まないからとか言われて誘われる場面がばからしくてすばらしい)。一作目でジャック・スパローの逃亡に手を貸した、という容疑であったが、その罪によって死刑を受けるのを免れたければジャック・スパローから例のコンパスを奪い取れ、という話になり、ウィリアム・タナーはジャック・スパローを追ってジャマイカを離れ、一方、エリザベス・スワンは別に行動を取って同じくジャック・スパローを追う。そしてウィリアム・タナーは文字どおりの波乱の末にジャック・スパローに追いつくものの、そのジャック・スパローは海賊船『ブラックパール』の船長となるために『フライングダッチマン』のイカタコな船長デイヴィ・ジョーンズと魂を売り渡すような約束をしていて、そのデイヴィ・ジョーンズが契約の履行を迫るので、代わりにウィリアム・タナーを人質に差し出す。で、東インド会社は宝箱に隠されたデイヴィ・ジョーンズの心臓に用があるようで、ジャック・スパローのほうでも同じ物に用があって宝箱の鍵を探しており、そうしているとウィリアム・タナーが問題の鍵を手中に収め、間もなくジャック・スパロー、エリザベス・スワンと再会する。一作目の英国海軍正規艦長ノリントン(エリザベス・スワンの元婚約者)もそこに現われ、なんだか三つどもえの状態になっているなあ、などと思っているとクラーケンも浮上してきて、最後にはバルボッサ船長まで登場し、話は次回に続いてしまう。
一作目同様、『ブラックパール』は美しく、しかも『フライングダッチマン』によってむごたらしく縦射される(この直後のカットは最高にいい)。敵役『フライングダッチマン』は船首追撃砲が三連になっていて、一発撃つと回転するところがとても楽しい。しかも『フライングダッチマン』は海面を割って海上に飛び出すだけではなくて、"Dive"という命令でちゃんと「潜航」する。そしてクラーケンが登場すると、これがもう芸術的に船に絡みついて沈めてしまう。素材への愛着は一流であろう。つまり船に関する描写は絵画的にもよく出来ていて、キャラクターはそれなり強化されながら期待を裏切らない程度に変わりがない。卑劣で間抜けなジャック・スパローは健在で、スラプスティックな描写もとても楽しい。アクションを豊富に織り込みながらもヒロイズムは否定し、どことなく間が抜けていてどこまでも人間臭い、という感じは抜群によいし、動物たちがちゃんと人間とタイマンを張っているところもよいと思う。


Tetsuya Sato