2013年12月25日水曜日

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
Catch Me If You Can
2002年 アメリカ 141分
監督:スティーブン・スピルバーグ

フランク・アバグネイルSr.は第二次大戦に出征し、フランスで妻を見つけて一児をもうけ、ニューヨーク州の地方都市で店を営んでいたが、国税局による告発を受けて財産を失う。一家は戸建ての家からアパートの部屋へ移り住み、息子は私立から公立の高校へ、妻はパート探しを余儀なくされる。そして妻は夫との離婚を選び、その唐突な報せに驚いた16歳の息子フランク・アバグネイルJr.は家を飛び出し、糊口をしのぐための空手形を連発するうちに手形詐欺の手口を独学で身につけていく。外見で信用を得るためにパンナムのパイロットの制服を身にまとい、その格好で飛行機にもただ乗りし、ジェームズ・ボンドにあこがれてコピーのスーツを三着も買い、アストン・マーチンを乗り回し、FBIの追跡をかわしながら、ある時は外科医となって救急外来の指揮にあたり、ジョージア州では司法試験に合格して検事補の任についたりもする。つまりこのひとは本当に頭がよいのであろう。少しあやかりたいものである。
フランク・アバグネイルSr.がクリストファー・ウォーケン、Jr.がディカプリオ、FBIの捜査官がトム・ハンクス。スピルバーグの演出は軽いタッチでテンポが速く、重たくなるところにはあまり足を止めずに片づけていく。その点では見やすい映画だと思う。反面、軽いだけで格別のカラーがないためにどうしてもキャラクターの造形が曖昧になって、人物関係などは構図以上のものにはなっていない。とはいえ、クリストファー・ウォーケンは落ちぶれながらも絶対に息子を売ろうとしない父親を好演しているし、トム・ハンクスとディカプリオの掛け合いも悪くない。60年代を再現した美術は見ごたえがあった。


Tetsuya Sato