2013年9月28日土曜日

銃殺!ナチスの長い五日間

銃殺!ナチスの長い五日間
Dio e con noi
1969年 イタリア/ユーゴスラビア
監督:ジュリアーノ・モンタルド

第二次大戦が終了し、二人のドイツ兵が勝手に軍服を脱いで故郷を目指すことにする。その旅の途中で連合軍の捕虜収容所のそばを通りかかり、鉄条網の外からドイツ軍捕虜に声をかける。そして短い会話から二人組の旅行者がドイツ兵であったことが判明し、中のドイツ軍捕虜たちが騒ぎ始めて、そうなると連合軍側も放ってはおけなくなって二人の身柄を拘束する。連合軍としては捕虜にしたからそれで終わりの筈であったが、ドイツ軍側は納得しない。脱走したのだから軍法会議にかける必要があると主張し、要求を通すために事実上のストライキへと突入する。そのドイツ的な徹底ぶりを見るに見かねた連合軍側は要求を認め、ドイツ軍捕虜たちは軍法会議を開いて二人の脱走兵に有罪を言い渡す。脱走は死刑なので、銃殺にしなければならない。そこで連合軍はドイツ軍捕虜に対して一時的に小銃を貸与し、ドイツ軍はその小銃を使って判決どおりに処刑する。
ドイツ軍だから、という描写もあったけれど、生命剥奪のプロセスを軍法に基づいて自動的に推し進めていく軍隊という組織がたいそうメカニックに描かれていて、そのあたりがなかなかに不気味でちょっと印象的な映画であった。脱走して銃殺される兵士の片方がフランコ・ネロで、銃殺される時に「なぜだ、もう戦争は終わったんだ」と不条理を叫んでいたけれど、法律的に正しいのはたぶん銃殺隊の方であろう。ちなみに勝手に帰ってしまったドイツ兵というのは実際には沢山いたようだし、自宅までトラックで送り返して回った部隊もあったようなので、ドイツ軍だからといって皆が皆、目の前に規律をぶら下げているわけではない。 


Tetsuya Sato