2013年9月21日土曜日

ナバロンの嵐

ナバロンの嵐
Force 10 from Navarone
1978年 イギリス 118分
監督:ガイ・ハミルトン

チトー率いるユーゴスラビアのパルチザンがドイツ軍に追い詰められていて、パルチザンを救うためにはドイツ軍の進路にあるネレトバ川の橋を爆破する必要がある、ということでアメリカ軍はバーンズビー少佐が率いる特殊部隊にマロリー少佐(昇進している)とミラー軍曹(昇進している)をくっつけてユーゴスラビアに送り込むが、パラシュート降下した一行は王党派の出迎えを受けて捕虜にされ、危ういところでパルチザンの女に救われて脱出を果たすものの爆薬の量的な問題から橋の爆破は不可能になり、だったらかわりに上流にあるダムを破壊して一気に橋を押し流そうという話になって、みんなでその方角を目指して歩き始める。
公開当時はユーゴスラビア陸軍全面協力という触れ込みで、最後の戦闘シーンではチトー大統領自らが撮影現場を視察した、と宣伝していたような記憶がある。リチャード・キール、バーバラ・バックと『007/わたしを愛したスパイ』のキャスティングをそのまま引っ張ってくるあたりは芸がないし、脚本は思いつきのようにしか見えないし、映画としても今一つという感じだが、実を言うとわたしは『ナバロンの要塞』よりもこちらのほうが好き。これはわたしが緊張感に富んだ冒険映画よりも洒落っ気があって間抜けな話のほうを好むからであろう。ロバート・ショーのマロリー少佐もエドワード・フォックスのミラー軍曹も陽気で洒落っ気があって、これは素朴に見ていて楽しい。つまり洒落っ気はあるけれど、緊張感は何もない。配役にも意外性は何もなくて、悪役はリチャード・キールだし、裏切り者はフランコ・ネロなのである。乗りはほとんどコメディに近い。



Tetsuya Sato