2013年9月13日金曜日

鷲は舞い降りた

鷲は舞い降りた
The Eagle Has Landed
1976年 イギリス 134分
監督:ジョン・スタージェス

1943年、スコルツェニィがムッソリーニの回収に成功すると、その成果を見て興奮したヒトラーはカナリス提督にチャーチル誘拐計画の立案を指示する。提督から作戦研究を任されたラドル大佐はイギリスのスパイからもたらされた情報によってチャーチルがスタドリ・コンスタブルと呼ばれる村に秘密裏に滞在することを知り、作戦に現実的な可能性を見出して実行部隊の選定に移る。そしてシュタイナ大佐が率いる降下猟兵部隊に着目し、研究成果をカナリス提督に報告するが、もちろんナンセンスであるという理由で退けられる。ところがヒムラーは作戦の存在をすでに知っていて、ラドル大佐に全権を与えて作戦の準備に取り掛からせる。懲罰部隊に送られて損耗を繰り返していたシュタイナ大佐とその部下が新たな使命のために呼び寄せられ、IRAのリアム・デブリンが準備のために現地へ送られ、降下のためのDC3と回収のための魚雷艇も確保され、DC3に乗り込んだシュタイナ大佐以下16名は自由ポーランド軍に偽装してスタドリ・コンスタブルの海岸に降下し、鷲は舞い降りた、というあの暗号が登場する。ここまででだいたい話の半分。
設定過剰な上に作者の介入がうるさい原作をよく刈り込んで軽快な話に仕上げているが、結末の改変は不自然であろう。空間的な広がりを備えているので大作の風格がある。マイケル・ケインのシュタイナ大佐はちょっといやみ。それを言うとアンソニー・クエイルのカナリス提督やドナルド・プレザンスのヒムラーというのもイメージが違っていて、納得できたのはドナルド・サザーランドのリアム・デブリンくらいであろうか(ジェニー・アガターのモリイ・プライアというのもそれらしかった)。戦闘場面は小火器中心でもスピード感とスタイルがあり、レンジャー部隊の悲劇的な突撃、擱坐した魚雷艇といった魅力的な場面もある。

Tetsuya Sato