2013年2月4日月曜日

暗黒街の顔役

暗黒街の顔役
Scarface
1932年 アメリカ 93分
監督:ハワード・ホークス

禁酒法時代のアメリカ。古いタイプのボス、ロイが何者かによって殺害され、ロイの縄張りはジョニー・ロヴォが引き継ぐが、そのロヴォの片腕となって現われたトニーはジョニーの指示に従わずに強引に縄張りを広げ、やがてジョニーの裏切りにあってジョニーを殺し、最愛の妹を奪ったという理由で兄弟分のリナルドを殺し、リナルド殺しの罪で警察によって包囲され、トンプソンで蜂の巣にされて死んでしまう。
ギャング映画の起源に位置する作品である。ポール・ムニ扮する主人公トニーの悪党ぶりはスクリーン映えしているが、かなり粗削りなプロットをほとんど膨らませずに映像化したような気配があって、それが結果としてある種のスタイルを作り出している一方、どこか名場面集といった風情もつきまとう。登場人物の描写も場面によってばらつきがあり、時間的にも空間的にも広がりが感じられない(日めくりカレンダーを上から一枚ずつトンプソンの銃弾が跳ねのけて、それで時間の経過を説明するという思い切ったシーンには感心したが)。




Tetsuya Sato