2013年2月27日水曜日

ねえ!キスしてよ

ねえ!キスしてよ
Kiss Me, Stupid
1964年 アメリカ 126分
監督:ビリー・ワイルダー

ネバダ州クライマックスという名前はすごいけれど、かなりさびしい町に作曲家志望のピアノ教師と作詞家志望の自動車整備工がいて、一緒になって五十曲以上も作っていたが、まだ一曲も売れていない。そこへラスベガスからロサンゼルスへ旅する途中、たまたまクライマックスを通りかかった人気歌手ディノが登場するので、それを見た自動車整備工はディノをクライマックスに足止めし、ピアノ教師の家を宿に差し出して曲を売り込もうと画策する。そしてピアノ教師は妻を愛するあまりになにもなくても嫉妬にもだえ、その妻は美人で、歌手のディノはただもうセックスに狂っているので話は難しいことになってくる。
ディーン・マーティンそっくりの人気歌手がディーン・マーティン、嫉妬深いピアノ教師がレイ・ウォルストン、その妻がフェリシア・ファーで、妻を守るために急遽呼び寄せられる代理の妻がキム・ノヴァク。怪しいものはすべて疑い、ことごとくを嫉妬のネタにしていくレイ・ウォルストンがかなり笑える。非常によくできたコメディで、ダイアログは例によって練り込まれ、とりわけキム・ノヴァク、フェリシア・ファーの女優陣が魅力的な作品だが、劇中、キム・ノヴァクが一粒だけ流す涙がなんとも物悲しくて泣けるのである。




Tetsuya Sato