2013年2月23日土曜日

ハンガー・ゲーム

ハンガー・ゲーム
The Hunger Games
2012年 アメリカ 143分
監督:ゲイリー・ロス

パネムという国があって、そこはどうやら13の地区にわかれていて、そのうちの12の地区がかつて反乱を起こして鎮圧されて、国家はその記憶を国民が失わないように、という配慮から、ということらしいのだけど、年に一度、反乱を起こした12の地区から12歳から18歳の男女一人ずつを選び出して最後の一人になるまで殺し合いをさせる行事をおこなっていて、第12地区に暮らすカットニス・エバディーンは自分の妹の身代わりにこの行事に志願する。 
最初の一時間をだらだらと状況説明に使い、一時間を過ぎたあたりからようやくゲームが始まって、それで少しはましになるのかと思ったら、結局最後までだらだらしておしまいで、この二時間半はかなり長い。プロットはお粗末で演出はまるでやる気がない。しかも肝心のゲームがいんちきばかりで面白くない(途中でルールを変えるのは問題外だし、都合よく遺伝子改造されたスズメバチの巣があったりとか、致死性の毒を持った木の実があるとか、小学生が書いた小説じゃあるまいし、だいたい、いきなり飛び出してくるCGの怪物はいったいなんですか)。反乱地域の取ってつけたような貧困描写は背景を欠いているので説得力がまるでないし、集められた少年少女もヒロインがやたらとクローズアップされる一方で影らしい影も与えられていない。周辺のおとなも魅力がなくて、ウディ・ハレルソンも役柄がよくわからないし、ドナルド・サザーランドはまったくのアルバイトに徹している。未来都市の描写もいただけない、というか、美術は全体に凄惨なことになっている。 



Tetsuya Sato