2012年9月10日月曜日

サボテン・ブラザース

サボテン・ブラザース
!Three Amigos!
1986年 アメリカ 110分
監督:ジョン・ランディス

1916年のメキシコ。山賊に襲われている村から助けを求めて一人の娘が町にやってくる。ところが映画と現実の見分けがつかなかったため、たまたまスクリーンに映し出された三人組のヒーローを本物の正義の味方と思い込み、予算の関係で話をかなり省略した電報をハリウッドに送る。当のヒーロー三人組はプロデューサーの仕打ちにあって首を切られ、帰る家もない有様であったため、そこへ届けられた電報をショービジネスの仕事と思い込んですぐさまメキシコへ出かけていく。そうすると絵に描いたようなメキシコの山賊が登場し、しかもその山賊にはなぜかドイツ人の「軍事顧問」がくっついているのである。
スティーブ・マーチンがランディ・ニューマンとプロダクションを組み、おそらくは最盛期のジョン・ランディスが歌と踊りとあほな笑いの気の抜けた映画に仕上げている。きわめてよくできたバラエティショーであり、にへらにへらと薄笑いを浮かべながらなにかを見たいような場合には非常につごうがよい。しかも舞台背景の『ワイルド・バンチ』な情景が心楽しいし(まったくの西部劇なのに自動車が走って飛行機が飛ぶ、というか、飛行機まで出てくると『パンチョ・ビラ』かもしれないが)、砦に巣食っている山賊の頭目は得体の知れない趣味の芸術写真にはまっているし、四十歳の誕生日を迎えて心に憂いを感じている。そして心優しい子分たちはお金を出しあって頭目にセーターを贈ったりするのである。ちなみにこの多感で残忍な山賊の頭目を演じたアルフォンソ・アラウは『ワイルド・バンチ』ではマパッチ将軍の子分の役をやっていて、ゴーグル姿で騎兵隊をしきっている姿がさまになっていた。


Tetsuya Sato