2012年9月19日水曜日

アイ・アム・レジェンド

アイ・アム・レジェンド
I Am Legend
2007年  アメリカ 100分
監督:フランシス・ローレンス

マシスン『地球最後の男』の三度目の映画化。今回のロバート・ネヴィルは陸軍中佐のウィルス学者で隠れ家に立派な研究施設を作っていて、そこで感染者を相手に人体実験を繰り返している。タイトルが原作と同じになっていたので、どうなるのかと思っていたら、血清が完成して人類は未来に希望をつなぎ、それでロバート・ネヴィルは伝説になるという文脈になっていて、つまり話は1971年の『オメガマン』と同じである。
ウィル・スミス扮するロバート・ネヴィルの硬直した精神状態が一方にあり、他方では感染者側のアルファ・オスがなにやら社会行動らしきことをしていたので、原作に沿った発展になるのかと一瞬期待したが、そういうことにはならなかった。問題は原作と違うとかなんとかいうことではなく、本作におけるロバート・ネヴィルのキャラクターが結局硬直したまま垂れて終わり、ひとつとして解釈を加えられないところにある。というわけでどうしても凡庸さが目立つものの、構成そのものに破綻はなく、演出自体もテンションはおおむね高い。無人となった都市(ニューヨーク)の荒廃した光景も見ごたえがあり、感染者たちの怪物じみた挙動もよくできている。 




Tetsuya Sato