2012年9月24日月曜日

マインド・シューター

マインド・シューター
Sleep Dealer
2008年 アメリカ/メキシコ 87分
監督:アレックス・リベラ

近未来のメキシコ、企業が水資源を独占してダムを作り、そのせいで崩壊した農村から若者がティファナの町に出ると、メキシコ・アメリカ国境は閉鎖されており、人々は自分のからだにノードと呼ばれるネットワーク用のポートを自費で埋め込んで、兵舎のような場所にすし詰めにされてアメリカ国内のロボットを操作して働いている。
つまり仮想の不法入国者がアメリカで現実の肉体労働に従事しているという話で、だからティファナの町の裏通りではいかがわしい男たちが、にいちゃんノードいらないか、ノード安いよ、と声をかけてくるのである。主人公はネットワークにつながれて手足を動かし、主人公の恋人は記憶を売って糊口をしのぎ、気持ちはすれ違い、思いは猛るものの、胸の内にしまわれている。悲しみとやり場のない怒りが全編にあふれ、最後にはわずかな救いと未来への希望が与えられる。淡々とした作りではあるが雰囲気はよく出ているし、絵はそれなりに美しく、美術にも工夫があり、出演者も頑張っている。





Tetsuya Sato