2012年9月22日土曜日

スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー
Sky Captain and the World of Tomorrow
2004年 アメリカ・イギリス 107分
監督・脚本:ケリー・コンラン

1939年。ニューヨークに突如として怪ロボットの大群が現われて発電機を掘り起こし、時を同じくして世界各地でも同様の怪事があって様々な物が盗難にあう。スカイキャプテンは愛機P-40を駆って怪ロボットの群れに立ち向かい、怪ロボットの群れが怪電波によって操られていることを突き止めるが、そこへ空を舞う怪ロボットの大群が現われ、スカイキャプテンの基地を襲い、スカイキャプテンの相棒デックスをさらうので、スカイキャプテンはかつて関係があった婦人記者ポーリーとともに怪電波の跡を追ってネパールを訪れ、謎の科学者トーテンコフの秘密を探って海へ飛び、英国海軍の空中空母部隊に助けられて謎の島へ潜入する。
1939年製作のフルデジタル映画、というのがあったとしたら、もしかしたらこんな感じなのかもしれない。ストーリーは後景に退き、パルプマガジンのご都合主義が正義となり、やりたいことは単なる冒険絵入り物語なのでそちらに集中した結果、できあがったものがまったく半端ではない。新味はない替わりに、古めかしい物を極限にまで増殖させて、それを縦横無尽に動かしてみせているのである。実際のところ、正味としてそれだけなので、まともな映画を期待してはいけない。つまり、いかにカスタムメイドとはいえ、カーチスP-40がアメリカからネパールまでいきなり飛んでいってしまうような映画なのである。しかもこのP-40は水にも潜るし、水に潜る戦闘機はこれだけではなくて、あとのほうでは英国海軍のマンタ部隊とかいうのが大挙して登場し、みんなで一斉に水に潜る。ヒンデンブルクの「3号機」が登場するし、ロボットはことごとくが怪ロボットだし、怪電波は空中を駆け巡るし、空中空母は空中空母だし、敵の迎撃ロケットはこれ以上にはないような見事な構図で海を割って飛び出してくるし、恐竜は登場するし、崖をまたぐ丸木の橋は どこかで見たような風情だし、 敵の秘密基地は超科学しているし、それがもう小松崎茂が描いた少年マガジンの口絵みたいだし、ジュード・ロウとグウィネス・パルトローの間抜けな掛け合いもそれなりに出来ているし、というわけで、わたしとしては悪いことは何もない。


スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー プレミアム・エディション [DVD]
Tetsuya Sato