2014年12月4日木曜日

Plan-B/ 黄昏

S1-E17
黄昏
 夕焼けの向こうに太陽が隠れて、夜のとばりが町にかかった。人々は仕事を終わりにして家路につき、子供たちは親の声に呼び戻された。店では客に閉店を告げる。商店街では雷鳴のような音ととともにシャッターが次々に下ろされていく。道という道に人が溢れ、人と人の肩が触れ合い、家を目指す列が進んだ。人々は自分の家に駆けこんで窓を分厚いカーテンで覆った。あるいはクリーム色のシェードを下ろし、鎧戸を閉ざして掛け金をかけた。黄昏の最後のきらめきが空を貫き、日没の時間が訪れた。夜が現われて伸び上がるようにして空を覆った。そして闇が現われて、空に広がる暗雲のように地上を進んで光を隠した。闇はいかなる光も通さなかった。闇のなかにはなにかが潜み、光を憎み、隙さえあれば闇を伝って人間を襲った。人々は光に隠れて息をひそめた。

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