2014年12月21日日曜日

ベイマックス

ベイマックス
Big Hero 6
2014年 アメリカ 102分
監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ

サンフランソウキョウ、というちょっとめまいがしそうな名前の町で叔母と暮らしている14歳のヒロはいわゆる天才少年で違法なロボットバトルに参加して小遣い稼ぎをしていたが、ロボット工学の研究をしている兄のタダシに叱られてまじめに勉強するつもりになって、キャラハン教授に教わるために大学へ入ろうと考えて群体型ロボットを開発して発表会で披露したところ、その会場で火事と爆発が起こってタダシが死ぬことになり、強い喪失感を抱えて部屋にこもって立ち往生をしていると、そのかたわらでタダシが残したケア専門ロボット、ベイマックスがむくむくと立ち上がってヒロの心をいやすための方策を勝手に探し始め、探しにいった先でタダシの死に関わる陰謀の気配を見つけ出すので、ヒロはベイマックスを改造して戦闘機能を与え、タダシの友人たちの助けを得て陰謀の正体を暴きにかかる。 
プロットはいかにもMARVELという感じで、ヒーロー集団の誕生プロセスをいかなる破綻も受け入れない安定した形式で描いている。やたらとふわふわしているベイマックスがかわいいし、ヒーロー集団結成、というところで研究室から素材を持ち込んで必要な物は3Dプリンターでどんどん、という軽快さも楽しいが、視覚面での豊かさにとにかく感心した。人種的な特徴を生かしたキャラクターデザインがすごいし、東京とサンフランシスコを合体させたというサンフランソウキョウの景観には思わずわくわくさせられた。冒頭、俯瞰から路地裏へと入り込んでいく一連のショットにおける表現の細密ぶりがすさまじいし、それ以降、あらゆるカットに無数の実写的な雑音を見つけ出すことになる。いったい何をどうすればこうなるのか、漠然と眺めているだけのこちらにはさっぱりわからないが、驚いた、というよりも、恐ろしいと感じた、というのが正直な感想かもしれない。さりげないけれど、きわめて革新的な映画だと思う。 

Tetsuya Sato