2014年9月9日火曜日

リオ・ブラボー

リオ・ブラボー
Rio Bravo
1958年 アメリカ 135分
監督:ハワード・ホークス

バーデット兄弟の弟ジョーが丸腰の男を撃ち殺したので、保安官のジョン・T・チャンスはジョーを逮捕して監禁する。そこでバーデット兄弟の兄ネイサンは多数のガンマンを雇って保安官事務所を監視下に置き、保安官に加勢しようとたくらむ者を排除して弟の釈放を要求する。チャンスは連邦保安官を町に呼ぶが、その到着までには六日がかかり、頼みは自分自身と二人の助手だけ、助手の一人はアル中で、一人は老人で満足に歩けない。
見どころの多い映画だが、やはりここはディーン・マーティン扮するアル中の保安官助手デュードであろう。冒頭、これが浮浪者も同然の姿で酒場に現われ、クロード・エイキンス扮するジョーがその有様を気づいて見せつけるようにグラスを上げ、痰壷に1ドル銀貨を放り込む。デュードは痰壷の口を物欲しそうに見やり、やおらに腰を屈めて拾いにかかると、そこへジョン・ウェイン扮する保安官が登場して痰壷を蹴り飛ばすのである。この間、台詞は一切なし、ただ映像が雄弁なのである。このあとでジョーの殺人を目撃したデュードは保安官助手に復帰してアルコールを断ち、禁断症状に苦しみながら敵の包囲に立ち向かう。ディーン・マーティンが実によい味を出していた。話の主軸はもちろん保安官とバーデット一味との戦いにあるが、その傍らにデュードが復活していく有様が小気味よく配置され、その隣では保安官と女賭博師フェザーズとの恋がなかなかに艶っぽく描かれる。身辺にアンジー・ディキンソンがうろうろしたりすると、いかにジョン・ウェインでも冷静ではいられないのである。ウォルター・ブレナンの口数の多いじいさんぶりもまたよろしいし、リッキー・ネルソンのちょっと小賢しい若者ぶりもまたよろしい。対するバーデット側のガンマンたちはジョーを無傷で取り戻すためにとにかくだまし討ちに専念し、小悪党ぶりを全開にして楽しませてくれる。ハワード・ホークスの演出は無駄がなく、アクションは常にテンションが高い。 

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