2013年6月25日火曜日

アザーズ

アザーズ
The Others
2001年 フランス/スペイン/アメリカ 101分
監督:アレハンドロ・アメナーバル

1945年、ノルマンディー沖のチャネル諸島。霧の中にたたずむ屋敷に母親と二人の子供が暮らしている。大戦はもう終わっているようだが、一家のあるじは出征したまま戻っていない。ある日、みすぼらしい身なりをした三人の男女がこの屋敷を訪れる。母親は相手の説明も待たずに初老の女を家政婦に、初老の男を庭師に、そして口のきけない娘を女中に雇う。母親の話によると、それまでの使用人は突然消えていなくなってしまったらしい。母親には偏頭痛がある。二人の子供は光アレルギーで、ランプの明かりよりも強い光を浴びてしまうと身体がひどく腫れ上がる。だから子供が入る部屋にはカーテンを下ろしておかなければならない。誤って子供に光が当たることがないように、部屋から部屋へと移動する場合には、まず前の部屋のドアを閉めて鍵をかけ、それから次のドアを開けなければならない。子供たちは家の中で暮らしいてて、母親から教育を受けている。母親は自分が感じているストレスを必ずしも隠そうとはしていない。子供への苛立ちと愛情の間を慌しく往復している。姉は少々反抗的な気配があり、弟は母親を慕っているようだ。姉は家の中に何かがいると母親に告げるが、母親は信じようとしない。だが、そのうちに母親の耳にも妙な音が聞こえてくる。使用人を総動員して家中を探すが、何も見つからない。そして夜中にピアノを弾く音が聞こえてくる。いったいそこに何がいるのか? 雇われたばかりの使用人たちが、なぜだか何かを知っているようだ。家政婦の得体の知れない笑みは何を意味しているのか? 前の使用人はなぜ消えてしまったのか? 母親は口を閉ざして語ろうとしない。姉は何かを言おうとしているが、弟はどうやら何も知らない。というわけで謎の一本釣りという感じがとんでもなくゴシックな映画なのである。決して目新しい種類の話ではないが、古典的で陰鬱な語り口がいかにもという雰囲気で楽しめる。クライマックスの背筋のじわじわっとした感じはかなりいい。 

Tetsuya Sato