2013年6月11日火曜日

巨大カニ怪獣の襲撃

巨大カニ怪獣の襲撃
Attack of the Crab Monsters
1957年 アメリカ 62分
監督:ロジャー・コーマン

水爆実験の結果が環境に与えた結果を調べるために島を訪れた調査団が不明の理由で消息を絶ち、科学者と海軍で構成された第二次調査団が同じ島を訪れ、第一次調査団が失踪した理由をいちおうはいぶかしむものの、それで特にどうしようという様子もなく、このような調査の対象になる無人の島になぜかレストハウスがあるので、そこに機材を運んで整理を始め、調査団を運んできた海軍の飛行艇の出発を見送るために全員で海を見下ろす崖に立つことに妙にこだわり、全員で崖に立って見送っていると飛行艇がなぜか爆発、そこで海軍にこの事故を報告するために無線機を使うとこの無線機が使えない、ということでどうやら孤立した調査団の一行は第一次調査団が残したメモを読み始めるが、、それで特にどうしようという様子もなく、翌日に備えて休むことになって眠っていると外から砲声のような音が聞こえてきて、ところが誰も砲声が聞こえていることに驚かないので見ているこちらがいぶかしんでいると、続く台詞でこれは砲声ではなくて地鳴りであり、たまたま使われた効果音が砲声にそっくりであったということがわかり、なぜ地鳴りがするのかというと島では地震が頻発してあちらこちらが陥没しているからで、朝になると前日にはなかった穴があり、科学者の一人が好奇心から穴の底に降りようとすると落ちたらどうするとまわりにとめられ、それだけで格別の進展もないまま一日が終わり、夜を迎えて科学者たちが休んでいると外から今度は第一次調査団の関係者の声が聞こえ、しきりと助けを求めて招くので声を頼りにいってみると穴のところで、科学者の一人がロープで降りていくと不明の理由で途中で落下し、翌朝全員で穴の縁に立って声をかけると足を怪我したということなので、見ているこちらは当然誰かが降りていって助けるのだろうと思っていると科学者たちの意見はロープで下に降りないということで一致して、海岸の洞窟が穴につながっているはずだという根拠のない確信にもとづいて海岸の洞窟に入っていくと察するに根拠があって言っていたということになるのか、穴の底に到着するものの怪我人の姿はどこにもなく、それで探し始めるのかと思うと怪我人のことは放っておいて捜索は明日にしようという話になり、つまりこの連中は一日に一つのことしかできない、ということがこのあたりで判明するわけだけど、そのうちにレストハウスに怪物のようなものが現われてドアの向こうで散々に暴れてそもそも役に立たない無線機を破壊し、またどこからともなく声が聞こえて一人消え、海岸のテントでポーカーをしていた水兵たちも消え、そうなってくるとこの恐ろしく腰の重い連中もさすがに座っていることができなくなったのか、いよいよ洞窟の奥へと入っていくと、そこには巨大なカニの怪物がいて、ピストルの弾丸を受けつけない、手榴弾も受けつけない、という強靭さを見せるが、科学者たちはカニの素材がきわめて水分に近いというわけのわからない憶測にもとづいてサンプルを採取し、顕微鏡で覗いてみて、このカニは電気を嫌うということを発見して電荷を放出する小さなパラボラアンテナのようなものをこしらえて洞窟に仕掛け、仕掛けた罠を科学者の一人が踏んでカニに食われ、とうとう生き残りが男女三人になったところで海岸へ逃げるとそこにもカニが現われるので、一人が犠牲になってカニを倒してカップルの二人が生き残る。
巨大なカニは食べた人間の脳の中身を読み取って、犠牲者の名を騙ってテレパシーで呼びかけていた、という恐ろしい、というか、恐ろしいくらい寝ぼけた内容で、ロジャー・コーマン製作、監督。登場人物は全員が健忘症で、しかも言っていることもやっていることも要領を得ないので状況に対処するのにとても苦しむ、ということを確信を持ってやっていればもう少しましな映画になっていたのであろう。この62分はけっこう長い。
カニの怪物ははりぼてで、ビニールのまぶたがついた恥ずかしいほどばかでかい目玉が甲羅に貼りつけてあって、はさみも脚もまったく動かないので、スタッフがはりぼての下にもぐって一生懸命揺すっている。 

Tetsuya Sato