2013年10月3日木曜日

地獄の戦場コマンドス

地獄の戦場コマンドス
Commandos
1968年 イタリア・西ドイツ・フランス 89分
監督:アルマンド・クリスピーノ

イタリア軍に偽装した少数のアメリカ軍特殊部隊が北アフリカ戦線に送り込まれ、オアシスを警備するイタリア軍を排除してドイツ軍機甲部隊を殲滅するための罠を仕掛ける。ところがそうして待ち構えているところへドイツ軍は給水だ、宴会だ、と気楽にやって来て面倒を持ち込み、飲み交わしているうちにドイツ軍の将校とアメリカ軍の将校とのあいだには教養を媒介にした友情が芽生えていく(ゲーテを引用したりする)。一方、捕虜になって閉じ込められたイタリア兵たちは果敢に脱出をたくらみ、アメリカ軍側の中心にいる軍曹(リー・ヴァン・クリーフ、イタリア系に見えない)は心にバターンの傷を負っていて、白昼、ことあるごとに日本兵を幻視する。しかもこの軍曹はなぜか指揮官の大尉を憎んでいて、俺たちは戦うだけだが指揮官はあらゆる状況に対処できなくてはならない、などと口にしながら確信犯で状況を複雑にしようとする。
厭戦感の強いイタリア製戦争映画である。どうかすると舌足らずだし、やや雑な印象もあるものの、プロットは頭を使って練り込まれている。最後にドイツ軍機甲部隊と接触して戦闘に入り、最終的には双方が全滅するといういかにも60年代的な結末はなかなかに印象的であった。 


Tetsuya Sato