2013年10月26日土曜日

ダーケストアワー 消滅

ダーケストアワー 消滅
The Darkest Hour
2011年 アメリカ 90分
監督:クリス・ゴラック

自分たちで開発したSNSを売り込むためにモスクワにやってきたショーンとベンは仲間だと思っていたスカイラーに権利を奪われて意気阻喪するとクラブにもぐり込んでやけ酒をあおり、そうしているうちにアメリカ人旅行者のナタリーとアンと知り合い、四人で記念撮影などをしているところで停電が起こり、外へ出てみると頭上の空には黄ばんだオーロラがかかっていて、そこからないやら光るものが降下してきて、その光るものが近づいてきた警察官を瞬時に灰に変えるので、四人とスカイラーを加えた五人はクラブの倉庫に逃れてそこで食料を食いつぶしながら数日を過ごし、どうやら静かになってきた、ということでアメリカ大使館を目指して無人の町となったモスクワを進み、ようやくたどり着いた大使館は廃墟と化していて、遠くに生存者の存在を認めてそこへたどり着くと電気技師が部屋をファラデーの檻で囲って生き延びていて、ロシア海軍の潜水艦が救援のためにモスクワ川まで来ていることを知って、電気技師が作り出した電磁砲を手に出発する。
 製作はティムール・ベクマンベトフ。プロットはふつうにB級SFをしていて、本来ならばアメリカの田舎町でプロムの晩に侵略が始まって、生き残った高校生が、というようなところをモスクワを舞台にやっていて、だったらアメリカ人が主人公である必要などまったくなかろうという気がするものの、うるさいことを言うつもりはない。 電磁波でできた見えないエイリアンの気配を探るために首から電球をぶら下げて、という下りはなんとなく『サイレントヒル』を思い出させるが、先行作品の引用というよりも理詰めで考えた結果であろう。電球や携帯電話などの使い方は面白い。
アイデア自体に格別の新味はないものの、処理のしかたに頭を使った痕跡が見えるところは好ましいし、そこにモスクワの自警団のようなものが絡んできたりするとなんとなく好感度は高くなる。ただ、プロットはバランスが悪いし、主人公たちは総じて魅力に乏しく、演出はリズムを欠いている。アイデアはあるけど構成力がない、ということになるのかもしれない。 

Tetsuya Sato