2014年7月1日火曜日

オンリー・ゴッド

オンリー・ゴッド
Only God Forgives
2013年 デンマーク/スウェーデン/タイ/アメリカ/フランス 90分
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

アメリカ人の兄弟ジュリアンとビリーはバンコクでボクシングジムを経営する一方で麻薬取引にも関与していて、巨大な男性自身の持ち主(母親談)である長男ビリーがある晩、町で16歳の少女をレイプして殺害し、そこへ現れた警官チャンは娘の父親を招きよせてビリーの身柄をまかせ、娘の父親がビリーを殺害するとチャンは背中から取り出した剣で娘の父親の右腕を切り落とし、ビリーの死を知った兄弟の母親はバンコクに現われて復讐を開始し、殺し屋を雇って娘の父親を殺し、続いてチャンに取りかかるとチャンに反撃されるので、母親は堕ろすはずだったのに生まれてきて父親を素手で殺している(母親談)次男ジュリアンにチャンの殺害を指示し、ジュリアンがチャンの家を訪れているあいだにチャンのほうは母親がいるホテルに現われる。 
ジュリアンがライアン・ゴズリング、母親はクリスティン・スコット・トーマス。法の概念を突破して裁きを下し、その合間にカラオケにいそしむチャンがヴィタヤ・パンスリンガム。
男性的ポテンシャルの抑止、母子相姦の予告、去勢、ホモソーシャルへの逃避などの面倒な記号が原色の色彩設計と対で構成されていて、そこに妻なしで子をもうけた(たぶん、腿か肩から)男が家父長的世界の禁忌を体現して刀で正義を実行し、ついでに自分でコロスも担当する。構築性はたしかに高いし、たいへんよくできていると思うけど、ただの変態映画である。


Tetsuya Sato