2014年6月26日木曜日

コン・ティキ

コン・ティキ
Kon-Tiki
2012年 イギリス/ノルウェイ/デンマーク/ドイツ/スウェーデン 118分
監督:エスペン・サンドベリ、ヨアヒム・ローニング

ポリネシアでの10年間にわたる実地研究でポリネシアの住民が南米から渡来したという仮説に達したトール・ヘイエルダールは自説をまとめて出版するためにニューヨークを訪れるが、最後に訪れた出版社で海を渡って立証しろと言われ、そのつもりでナショナル・ジオグラフィックを訪れてその場で支援を断られ、妻子が待つリレハンメルへ戻るはずが、目的地を変更してペルーのリマへ飛び、そこで資金難に苦しみながらペルー政府の支援をどうにか取りつけると昔の技法で組んだバルサ材の筏『コン・ティキ』に四人の仲間とともに乗り込んで1947年4月28日に出発、フンボルト海流で北西に流されながら困難の末に南赤道海流をつかまえて出発から102日後の8月7日にツアモツ諸島に到達し、ラロイア環礁で座礁する。 
いわゆる『コン・ティキ号漂流記』の映画化で、監督は『マックス・マヌス』のエスペン・サンドベリとヨアヒム・ローニング。時期的にも『マックス・マヌス』の精神状態をいくらか引きずっていて、乗員の一人が実際にレジスタンスだったという話も加わって、その観点から眺めるとなかなかに興味深い。主役のポール・スヴェーレ・ハーゲンはエドワード・ノートンとピーター・オトゥールを足して二で割ったような風貌で、ヘイエルダールという独特のカリスマを魅力的に演じている。撮影は非常に美しく、道中で遭遇する光景も神秘的で目が離せない。素材が素材だけに地味ではあるが、雄弁で力強い。 


Tetsuya Sato