2014年3月4日火曜日

ヤギと男と男と壁と

ヤギと男と男と壁と
The Men Who Stare at Goats
2009年 イギリス/アメリカ 94分
監督:グラント・ヘスロヴ

地方新聞の記者ボブ・ウィルトンは妻を編集長に奪われたことから妻を見返す必要を感じ、また自分と向き合う必要も感じたことから記事のネタを求めてイラク戦争の現場を目指し、クウェート国境で足止めされたところでリン・キャシディと名乗る男と知り合い、かつてリン・キャシディの同僚を取材していたことでリン・キャシディの正体を見抜き、リン・キャシディがアメリカ陸軍超能力者部隊の一員であったことを指摘するとリン・キャシディは事実を認め、これから国境を越えてイラクへ入るというリン・キャシディにボブ・ウィルトンは同行し、その道中で超能力者部隊「新地球軍」についてあれこれを知ることになるが、つまりリン・キャシディの説明によればベトナム戦争期間中にベトコンの弾を受けて倒れた男ビル・ジャンゴは撃たれた瞬間に耳にした一言の意味を解明するために六年間にわたってニューエイジの洗礼を受け、軍に復帰して「新地球軍」のコンセプトを説明したところ、折からソ連側の超能力者部隊(ネコをいじめている)についての情報を得て対抗策の必要を感じていた国防省は「新地球軍」の創設を認め、リン・キャシディもその一員となって「ジェダイの戦士」となるために透視能力などの技術を磨いていたが、スプーン曲げの能力を認められて部隊に入ったラリー・フーバーが秩序を乱してビル・ジャンゴを軍から追い出し、リン・キャシディにヤギをいじめるように強要し、任期を終えて除隊するリン・キャシディを中国に伝わる点穴の技で死の罠にはめ、それはそれとして自分は現役の兵士であり、現在も秘密活動の最中であるとリン・キャシディは説明し、あてにならない超能力で砂漠を進み、遭難しかけた二人の前に謎の米軍基地が出現する。
新聞記者がユアン・マクレガー、超能力者リン・キャシディがジョージ・クルーニー、「新地球軍」の指揮官ビル・ジャンゴがジェフ・ブリッジス、部隊を崩壊に導く邪悪なSF作家ラリー・フーバーがケヴィン・スペイシー、途中砂漠で二人を拾う謎の政商がロバート・パトリック。きわめていかがわしい話とそのいかがわしい話を信仰にした善良な人々の話とが実にうまく混淆されて面白い映画になっているが、それにしても驚くべきオールスターぶりである。出演者はみないい感じの演技をしていて、特にジェフ・ブリッジスが楽しそう。 

Tetsuya Sato