2013年11月3日日曜日

暴走!ターボ・バスターズ

暴走!ターボ・バスターズ
New Kids Turbo
2010年 オランダ 84分
監督:ステフェン・ハールス

オランダ、北ブラバントにあるマースカンチェというはなはだ魅力の乏しい小さな町にはなはだ素養の低い五人の若者が暮らしていて、北ブラバントに不況の波が襲いかかると、たぶん不況の波とはまったく無関係に、ただもう満足に仕事ができないという理由で解雇されて、それで失業給付を受けるとその金でビールを買い、駄菓子を買い、ポルノを買い、たばこを買い、金がなくなると役所に押しかけて担当者に暴力をふるい、その結果として給付を打ち切られていよいよ金がなくなり、督促状のたぐいを無視していると回収業者が現われるので回収業者にも暴力をふるい、回収業者が警官を連れてやってくると今度は警官に暴力をふるい、警察が武装して家を包囲すると逃げ出してあれやこれやと脈絡もなく悪の限りを尽くし、北ブラバントで発生した暴動はこの五人の行状に原因があるのは火を見るよりもあきらかであったので、状況を座視できないと判断した国防省は空爆を決定、たぶん座標を間違えて隣の町スキンデルを壊滅させるとベルギーのせい、と言い逃れをして特殊部隊を送り込み、逃走中の五人は半端ではない対独協力者から武器を手に入れて反撃する。
北ブラバントというのがどういう土地なのか知らないけど(オランダ国防省も知らないらしいが)、銃弾がどこからともなく飛んでくるし、なにかというと車が突っ込んできてひとを踏みつぶす。で、主人公五人組は察するに地元で鍛えられたせいなのか、車にはねられても死なないし、銃で撃たれても死なない。そして誰もなにも考えていないので次の瞬間になにが起きるかわからない。田舎者をネタにした醜悪で猥雑で暴力性の強いコメディだが、そこはかとなく漂う批評性は『サウスパーク』に通じるところがある。構成面から眺めると映画的な強度にやや欠けるものの、わけのわからないパワーがあって、けっこうおもしろい。 


Tetsuya Sato