2012年10月30日火曜日

Red/レッド

Red/レッド
Red
2010年 アメリカ 111分
監督:ロベルト・シュヴェンケ

CIAの元職員フランク・モーゼスは電話で話をするだけの年金局の職員サラ・ロスに恋心を抱き、サラ・ロスと出会うためにひそかに準備を進めていたが、そこへ重武装した刺客の集団が襲いかかってくるので、そのことごとくを返り討ちにして、サラ・ロスにも危険が降りかかるのを恐れてサラ・ロスの家を訪れ、サラ・ロスを事実上拉致すると自分が襲われた理由を探るためにかつての仲間ジョー・マターソンが暮らす老人ホームを訪れ、1980年代初頭にグアテマラで起こった事件に関与した者が殺されていることを知り、同じように命を狙われているかつての仲間マーヴィン・ボックスの安否を確かめ、かつての敵イヴァン・シマノフの助けを得てCIA本部への潜入を果たし、やはり引退しているMI6の暗殺者ヴィクトリアを仲間に引き入れると武器商人アレクサンダー・マニングを締め上げ、一連の事件の背後に副大統領の存在があることを知ると、事件を終わらせ、CIAの手に落ちたサラ・ロスを救出するために副大統領を襲撃する。
94歳のアーネスト・ボーグナインがCIAの資料室で管理人をしているのである。これが実に尊い姿であった。頭のおかしいマーヴィンに扮したジョン・マルコヴィッチがおもにばかなことをやり、ヘレン・ミレンがおしとやかに重火器を撃ちまくり、モーガン・フリーマンもうれしそうにばかなかっこうで現われて、ロシア人に扮したブライアン・コックスがいい役回りでおいしいところを取っていく。登場場面は少ないものの、リチャード・ドレイファスの悪役ぶりはさすがであろう。車の運転席から一瞬の動作で降り立ってピストルの狙いをつけるブルース・ウィリスは実にシャープでかっこいいが、火力優先に傾いたアクションシーンは全体に統一感を欠いている。
『フライトプラン』同様、ロベルト・シュヴェンケの演出はとりあえずまとまってはいるものの、どこか野暮ったくてすっきりとしない。ある種のおばか映画としては決して悪くないものの、おばかの部分を出演者にまかせすぎているのではあるまいか。ところで若いCIA職員ウィリアム・クーパーに扮していたカール・アーバンは『レジェンド・オブ・ウォーリアー』で主役をやっていたひとなのであった。 




 

Tetsuya Sato