2017年1月2日月曜日

スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望

スターリングラード大進撃 ヒトラーの蒼き野望
Doroga na Berlink
2015年 ロシア 82分
監督:セルゲイ・ポポフ

1942年、前線で任務放棄をした伝令将校オガリュコフ中尉は前線部隊の軍法会議で死刑を宣告されて監禁され、オガリュコフの見張りを命じられたアジア系の衛兵ズルバエフは司令部の承認を得るまでは死刑を執行してはならない、という指示を野戦軍法会議の書記から受け、そこへ現れたドイツ軍の攻撃でロシア軍の前線は崩壊、ズルバエフはオガリュコフを引っ張り出して戦場から脱出し、司令部の承認を得るために一人でオガリュコフを護送していくとやがてロシア軍部隊と遭遇、オガリュコフとズルバエフを戦力に加えた部隊はドイツ軍の包囲を突破し、その際の戦功によってオガリュコフとズルバエフは新聞の取材を受けるが、部隊から離れるとズルバエフは再びオガリュコフの護送に戻り、二人で黙々と歩き続ける。 
モスフィルム製作で原題は『ベルリンへの道』(戦中に作曲されたロシア製ジャズのタイトルらしい)。舞台はウクライナだと思われるが、DVDの邦題にあるスターリングラードはスの字も出てこない。短編小説をそのまま映画にしたような小品だが、忍耐強くてぶれのない演出で見ごたえのある映画になっている。美術が非常によくできていて、ロシア軍兵士のウェザリングがいかにもそれらしいし、民間人も含めて全員が汚らしくて戦争やつれしているところもそれらしい。冒頭でKV2戦車、T-34が登場し、ほかにロシア軍の河川舟艇輸送車、怪しげな四号戦車、残骸になった三号戦車などが登場する。戦闘シーンは派手さはないがまじめに作られており、戦場での死体回収作業といった珍しい風景も登場する。 

Tetsuya Sato