ニトロ・パニック/燃える超大型船ポセイドン号
Explozia
1972年 ルーマニア・イタリア 96分
監督:ミルチャ・ドラガン
ドナウ川を進むパトロール船が呼びかけに応答しない大型貨物船を発見する。乗り込んでみると船上に乗組員の姿はなく、火災が発生していて、しかも船には硝酸アンモニウムが満載されていた。この暴走する船をなんとかしなければ町に甚大な被害を与える危険があった。そこでパトロール船の乗員たちは消火活動に取りかかり、そうしていると市民も同志たちの戦いを見過ごすな、ということで応援に駆けつけ、ついでに略奪騒ぎなども起こり、最後には船を停めようがないというような判断になって、町に接近しすぎる前に爆発を起こして沈めてしまう、という展開であったように記憶している。実話が元になっているらしい。ルーマニア製パニック映画という物珍しさはあるものの、格別面白い映画ではない。
Tetsuya Sato
2014年2月7日金曜日
2014年2月6日木曜日
マイティ・ソー/ダーク・ワールド
マイティ・ソー/ダーク・ワールド
Thor: The Dark World
2007年 アメリカ/ドイツ 113分
監督:アラン・テイラー
ビフレストが破壊されてあちらこちらの世界が戦乱で満たされ、ソーとその仲間が鎮圧のために戦っていたころ、ジェーン・フォスターはロンドンで謎の重力異常を発見し、その現場に近づいたところ、かつて闇のエルフが世界を闇に戻すために使おうとしてアスガルドの軍勢に敗れて以来、地下に封印されていたエーテルに触れてエーテルを体内に取り込むことになり、世界に平和を取り戻したソーはジェーンの前に現われると異常に気づいてジェーンをアスガルドに運び、エーテルの気配に気づいた闇のエルフの生き残りはエーテルを取り戻すためにアスガルドに襲いかかるので、ジェーンをエーテルから切り離し、アスガルドを救うためにソーは『アベンジャーズ』の一件以来、牢屋に閉じ込められていたロキの手を借りることにする。
一作目の微妙に閉塞感が漂う空間処理に替わって世界は一気に風通しがよくなり、クライマックスでは重力異常でできた穴をくぐってソーがあっちの世界からこっちの世界へと飛び回り、飛び回るソーのあとをムジョルニアがかいがいしく追いすがる。本編におけるムジョルニアの扱いはさりげなくかわいらしい。クリス・ヘムズワースは好感が持てる演技をしているし、トム・ヒドルストンのロキはほとんどもうわけがわからないくらい軽い感じで悪いだけ、という雰囲気ではあるが、ロキに決定的なイメージを与えている。視覚的に豊かで内容的にも盛りだくさんで、ほどよくユーモアも織り込まれているし、グリニッジ大学大破壊のシーンも節度があるし、で、悪いところはなにもない。楽しんだ。
Tetsuya Sato
Thor: The Dark World
2007年 アメリカ/ドイツ 113分
監督:アラン・テイラー
ビフレストが破壊されてあちらこちらの世界が戦乱で満たされ、ソーとその仲間が鎮圧のために戦っていたころ、ジェーン・フォスターはロンドンで謎の重力異常を発見し、その現場に近づいたところ、かつて闇のエルフが世界を闇に戻すために使おうとしてアスガルドの軍勢に敗れて以来、地下に封印されていたエーテルに触れてエーテルを体内に取り込むことになり、世界に平和を取り戻したソーはジェーンの前に現われると異常に気づいてジェーンをアスガルドに運び、エーテルの気配に気づいた闇のエルフの生き残りはエーテルを取り戻すためにアスガルドに襲いかかるので、ジェーンをエーテルから切り離し、アスガルドを救うためにソーは『アベンジャーズ』の一件以来、牢屋に閉じ込められていたロキの手を借りることにする。
一作目の微妙に閉塞感が漂う空間処理に替わって世界は一気に風通しがよくなり、クライマックスでは重力異常でできた穴をくぐってソーがあっちの世界からこっちの世界へと飛び回り、飛び回るソーのあとをムジョルニアがかいがいしく追いすがる。本編におけるムジョルニアの扱いはさりげなくかわいらしい。クリス・ヘムズワースは好感が持てる演技をしているし、トム・ヒドルストンのロキはほとんどもうわけがわからないくらい軽い感じで悪いだけ、という雰囲気ではあるが、ロキに決定的なイメージを与えている。視覚的に豊かで内容的にも盛りだくさんで、ほどよくユーモアも織り込まれているし、グリニッジ大学大破壊のシーンも節度があるし、で、悪いところはなにもない。楽しんだ。
Tetsuya Sato
2014年2月5日水曜日
トリフィドの日(2009)
ラストデイズ・オブ・ザ・ワールド
The Day of the Triffids
2009年 イギリス/カナダ 180分 TV
監督:ニック・コパス
トリフィドから代替燃料を採取するトリフィド農場の技術者ビル・メイソンはトリフィドの毒のせいで目が見えなくなって頭に包帯をして入院していると上空では太陽嵐による天体ショーが始まり、プラズマの放射によって天体ショーを見ていたひとはことごとく失明し、事故が起こり、飛行機が墜落し、得体の知れない狂信者がトリフィド農場のトリフィドを解放するのでビル・メイソンはトリフィド対策を呼びかけるが、コーカー少佐の率いるグループに捕えられて失明者の介護や食料集めを強要され、コーカー少佐の配下にいる得体の知れない男トレンスがコーカー少佐を排除してグループを支配し、ビル・メイソンはコーカー少佐とともに森へ送られてトリフィドの餌食になるところを危うく逃れてヴァネッサ・レッドグレーヴ扮するところの院長がいる修道院にたどり着くが、ここでも異常なことがおこなわれているので、ビル・メイソンはトリフィド研究の大家である自分の父を捜して旅立ち、一方、ビル・メイソンの事実上に恋人であるBBCのアナウンサー、ジョー・プレイトンはトレンスの悪をあばいてロンドンを逃れ、森でブライアン・コックス扮するところのビル・メイソンの父に拾われ、父のもとにたどり着いたビル・メイソンとの再会を果たし、ビル・メイソンの父はすでにトリフィド対策を完成させているものの、例によってばかげた理由で命を落とし、そこへビル・メイソンを追ってトレンスの一味が現われる。
ジョン・ウィンダム『トリフィドの日』の(たぶん)三度目の映像化で、BBCによる(たぶん)二度目のドラマ化。これまでの映像化ではおそらくもっとも費用がかかっていて、トリフィドもふんだんに登場するが、その分、余計なホラー色やサスペンス色が強くなり、原作のプロットは大きく単純化され、登場人物もアホウになっている。
ラストデイズ・オブ・ザ・ワールド【完全版】 [DVD]
Tetsuya Sato
The Day of the Triffids
2009年 イギリス/カナダ 180分 TV
監督:ニック・コパス
トリフィドから代替燃料を採取するトリフィド農場の技術者ビル・メイソンはトリフィドの毒のせいで目が見えなくなって頭に包帯をして入院していると上空では太陽嵐による天体ショーが始まり、プラズマの放射によって天体ショーを見ていたひとはことごとく失明し、事故が起こり、飛行機が墜落し、得体の知れない狂信者がトリフィド農場のトリフィドを解放するのでビル・メイソンはトリフィド対策を呼びかけるが、コーカー少佐の率いるグループに捕えられて失明者の介護や食料集めを強要され、コーカー少佐の配下にいる得体の知れない男トレンスがコーカー少佐を排除してグループを支配し、ビル・メイソンはコーカー少佐とともに森へ送られてトリフィドの餌食になるところを危うく逃れてヴァネッサ・レッドグレーヴ扮するところの院長がいる修道院にたどり着くが、ここでも異常なことがおこなわれているので、ビル・メイソンはトリフィド研究の大家である自分の父を捜して旅立ち、一方、ビル・メイソンの事実上に恋人であるBBCのアナウンサー、ジョー・プレイトンはトレンスの悪をあばいてロンドンを逃れ、森でブライアン・コックス扮するところのビル・メイソンの父に拾われ、父のもとにたどり着いたビル・メイソンとの再会を果たし、ビル・メイソンの父はすでにトリフィド対策を完成させているものの、例によってばかげた理由で命を落とし、そこへビル・メイソンを追ってトレンスの一味が現われる。
ジョン・ウィンダム『トリフィドの日』の(たぶん)三度目の映像化で、BBCによる(たぶん)二度目のドラマ化。これまでの映像化ではおそらくもっとも費用がかかっていて、トリフィドもふんだんに登場するが、その分、余計なホラー色やサスペンス色が強くなり、原作のプロットは大きく単純化され、登場人物もアホウになっている。
Tetsuya Sato
2014年2月4日火曜日
トリフィドの日(1981)
デイ・オブ・ザ・トリフィド
The Day of the Triffids
1981年 イギリス 157分 TV
監督:ケン・ハナム
トリフィドから代替燃料を採取するトリフィド農場の技術者ビル・メイソンはトリフィドの毒のせいで目が見えなくなって頭に包帯をして入院していると上空に流星雨が現われて、この天体ショーに見入ったすべてのひとが翌朝までに失明し、看護婦も医師も現れないのでビル・メイソンは自分で包帯を解いて外に出て生き残るために失明した人々を見捨てようというグループに加わり、失明した人々を見捨てないというグループに捕えられて失明した人々の面倒を見ることを強制され、そうしているうちに疫病が流行って人々が倒れ、グループも崩壊するので恋人を探し求めて田舎へ走り、恋人との再会を果たしてトリフィドを駆除しながらどうにか生活を立てていくが、そこへ新秩序をもたらそうとたくらむ新たなグループが現われるので、ビル・メイソンは仲間とともに脱出する。
ジョン・ウィンダム『トリフィドの日』を原作とするBBCのテレビドラマで全6話構成。 1962年版に比べるとだいぶましで、原作の雰囲気はそれなりに出ていると思うが、視覚的な薄さはどうにも否定できない。

Tetsuya Sato
The Day of the Triffids
1981年 イギリス 157分 TV
監督:ケン・ハナム
トリフィドから代替燃料を採取するトリフィド農場の技術者ビル・メイソンはトリフィドの毒のせいで目が見えなくなって頭に包帯をして入院していると上空に流星雨が現われて、この天体ショーに見入ったすべてのひとが翌朝までに失明し、看護婦も医師も現れないのでビル・メイソンは自分で包帯を解いて外に出て生き残るために失明した人々を見捨てようというグループに加わり、失明した人々を見捨てないというグループに捕えられて失明した人々の面倒を見ることを強制され、そうしているうちに疫病が流行って人々が倒れ、グループも崩壊するので恋人を探し求めて田舎へ走り、恋人との再会を果たしてトリフィドを駆除しながらどうにか生活を立てていくが、そこへ新秩序をもたらそうとたくらむ新たなグループが現われるので、ビル・メイソンは仲間とともに脱出する。
ジョン・ウィンダム『トリフィドの日』を原作とするBBCのテレビドラマで全6話構成。 1962年版に比べるとだいぶましで、原作の雰囲気はそれなりに出ていると思うが、視覚的な薄さはどうにも否定できない。
Tetsuya Sato
2014年2月3日月曜日
トリフィドの日(1962)
人類SOS!
The Day of the Triffids
1962年 イギリス 94分
監督:スティーヴ・セクリー、フレディ・フランシス
ジョン・ウィンダム『トリフィドの日』の映画化。とはいえ、人類の大半が流星雨を見たせいでいきなり盲目になり、そこへ食肉植物が襲いかかるという状況が利用されているだけで、トリフィドがどこから来たのか満足な説明もないし、社会的な変動もすっ飛ばされて、ためしに海水をかけてみたら溶けました、というけったいなハッピーエンドになっている。ちなみに肝心のトリフィドはレールの上をよたよた移動するだけ。
トリフィドの日~人類SOS!~ [DVD]
Tetsuya Sato
The Day of the Triffids
1962年 イギリス 94分
監督:スティーヴ・セクリー、フレディ・フランシス
ジョン・ウィンダム『トリフィドの日』の映画化。とはいえ、人類の大半が流星雨を見たせいでいきなり盲目になり、そこへ食肉植物が襲いかかるという状況が利用されているだけで、トリフィドがどこから来たのか満足な説明もないし、社会的な変動もすっ飛ばされて、ためしに海水をかけてみたら溶けました、というけったいなハッピーエンドになっている。ちなみに肝心のトリフィドはレールの上をよたよた移動するだけ。
トリフィドの日~人類SOS!~ [DVD]
Tetsuya Sato
2014年2月2日日曜日
欲望のバージニア
欲望のバージニア
Lawless
2012年 アメリカ 98分
監督:サーシャ・ガヴァシ
1931年、禁酒法施行後のバージニア州フランクリンで土地のお百姓がせっせと密造酒の製造に励んで地産地消に精を出していると、そこへ州の検事と結託した冷酷非情な特別補佐官が現われて密造酒の上がりを搾取するので、地元では不死身で評判のボンデュラント兄弟が特別補佐官の仕打ちに抵抗し、それでも特別補佐官が仕打ちを続けてついに越えてはいけない一線を越えると兄弟はもちろん村人も保安官も立ち上がる。
ボンデュラントの3兄弟が上からジェイソン・クラーク、トム・ハーディ、シャイア・ラブーフ、かなり異常なレイクス特別補佐官がガイ・ピアース、あまり顔は出さないギャングの親玉がゲイリー・オールドマン。
ロケはおもにジョージア州でおこなわれたらしい。当時の風俗などが豊かに再現されていて、そこにフランドル絵画のような色彩が混じって視覚的にいろいろと楽しみがある。いかにもな形で展開するお話もなかなかに面白いが、中盤以降の状況を進めるためのモンタージュはやや唐突だし、全体にカメラが動きすぎるせいでショットに落ち着きがない。ひんぱんにカントリー系の音楽が挿入されるが、これもなぜか落ち着かない。フレームをきっちりと決めて、もう少し重ための造形にしたほうがよかったのではないか、という気がしてならないが、もしかしたらわたしが単に古典的な作りを求めているのかもしれない。

Tetsuya Sato
Lawless
2012年 アメリカ 98分
監督:サーシャ・ガヴァシ
1931年、禁酒法施行後のバージニア州フランクリンで土地のお百姓がせっせと密造酒の製造に励んで地産地消に精を出していると、そこへ州の検事と結託した冷酷非情な特別補佐官が現われて密造酒の上がりを搾取するので、地元では不死身で評判のボンデュラント兄弟が特別補佐官の仕打ちに抵抗し、それでも特別補佐官が仕打ちを続けてついに越えてはいけない一線を越えると兄弟はもちろん村人も保安官も立ち上がる。
ボンデュラントの3兄弟が上からジェイソン・クラーク、トム・ハーディ、シャイア・ラブーフ、かなり異常なレイクス特別補佐官がガイ・ピアース、あまり顔は出さないギャングの親玉がゲイリー・オールドマン。
ロケはおもにジョージア州でおこなわれたらしい。当時の風俗などが豊かに再現されていて、そこにフランドル絵画のような色彩が混じって視覚的にいろいろと楽しみがある。いかにもな形で展開するお話もなかなかに面白いが、中盤以降の状況を進めるためのモンタージュはやや唐突だし、全体にカメラが動きすぎるせいでショットに落ち着きがない。ひんぱんにカントリー系の音楽が挿入されるが、これもなぜか落ち着かない。フレームをきっちりと決めて、もう少し重ための造形にしたほうがよかったのではないか、という気がしてならないが、もしかしたらわたしが単に古典的な作りを求めているのかもしれない。
Tetsuya Sato
2014年2月1日土曜日
地獄
地獄
1960年 日本 101分
監督:中川信夫
大学生の清水四郎は矢島教授の娘幸子と婚約して幸福の絶頂にあったが、その晩、友人の田村の車に乗って帰宅する途中、田村が世田谷区上馬で轢き逃げをしたせいで人生が狂うことになり、良心の呵責に悩む四郎が警察への自首を考えても田村が拒絶、目撃者がいないと思っていた事件には実は目撃者がいて、轢き逃げをされた犠牲者の母親が田村の車のナンバープレートをはっきりと見ていて、息子が死ぬと息子の情婦であった洋子とともに轢き逃げ犯への復讐を誓い、四郎は幸子に事情を話して幸子とともに警察へいこうとするが、乗っていたタクシーが事故を起こして幸子は死亡、自暴自棄になった四郎は酒を飲みに出かけてそこで洋子と出会い、四郎の正体を知った洋子は早速四郎を罠にかけようとたくらむが、四郎は「ハハキトク」の電報を受け取って帰省して養老院を営む実家を訪れ、するとそこでは病身の母親の隣で父親が情婦とたわむれ、父親と結託した医師は養老院の入所者にいいかげんな医療をほどこし、居候の画家は父親の依頼で寺に奉納するための地獄絵を描き、父親の情婦が四郎に懸想をすると画家の娘もまた四郎に対して感情を抱き、そうしていると田村も矢島教授夫妻も復讐を誓う女たちも四郎を追って周辺に現われ、あれやこれやとしているうちに主要登場人物も周辺人物もことごとくが死んで地獄に落ちて現世の咎をつぐなうために責め苦にあう。
四郎が天知茂、閻魔大王が嵐寛寿郎。脚本が微妙に『ファウスト』なのが興味深い。閻魔大王が登場するのは上映時間が1時間ほど経過してから。そのから展開する地獄の地獄ぶりよりもこの世の地獄ぶりのほうがよほどに面白いという難点はあるものの、演出はテンポが早くてパワーがある。対象性の強調と象徴的な表現が大胆に使用されていて、これは下手がやったら目も当てられないしろものになっていたに違いないが、そこも効果的にまとめられている。とにかく野心的で面白い絵を作ろう、という意気込みがたのもしい。
『地獄』予告編

Tetsuya Sato
1960年 日本 101分
監督:中川信夫
大学生の清水四郎は矢島教授の娘幸子と婚約して幸福の絶頂にあったが、その晩、友人の田村の車に乗って帰宅する途中、田村が世田谷区上馬で轢き逃げをしたせいで人生が狂うことになり、良心の呵責に悩む四郎が警察への自首を考えても田村が拒絶、目撃者がいないと思っていた事件には実は目撃者がいて、轢き逃げをされた犠牲者の母親が田村の車のナンバープレートをはっきりと見ていて、息子が死ぬと息子の情婦であった洋子とともに轢き逃げ犯への復讐を誓い、四郎は幸子に事情を話して幸子とともに警察へいこうとするが、乗っていたタクシーが事故を起こして幸子は死亡、自暴自棄になった四郎は酒を飲みに出かけてそこで洋子と出会い、四郎の正体を知った洋子は早速四郎を罠にかけようとたくらむが、四郎は「ハハキトク」の電報を受け取って帰省して養老院を営む実家を訪れ、するとそこでは病身の母親の隣で父親が情婦とたわむれ、父親と結託した医師は養老院の入所者にいいかげんな医療をほどこし、居候の画家は父親の依頼で寺に奉納するための地獄絵を描き、父親の情婦が四郎に懸想をすると画家の娘もまた四郎に対して感情を抱き、そうしていると田村も矢島教授夫妻も復讐を誓う女たちも四郎を追って周辺に現われ、あれやこれやとしているうちに主要登場人物も周辺人物もことごとくが死んで地獄に落ちて現世の咎をつぐなうために責め苦にあう。
四郎が天知茂、閻魔大王が嵐寛寿郎。脚本が微妙に『ファウスト』なのが興味深い。閻魔大王が登場するのは上映時間が1時間ほど経過してから。そのから展開する地獄の地獄ぶりよりもこの世の地獄ぶりのほうがよほどに面白いという難点はあるものの、演出はテンポが早くてパワーがある。対象性の強調と象徴的な表現が大胆に使用されていて、これは下手がやったら目も当てられないしろものになっていたに違いないが、そこも効果的にまとめられている。とにかく野心的で面白い絵を作ろう、という意気込みがたのもしい。
『地獄』予告編
Tetsuya Sato
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