2014年7月27日日曜日

GODZILLA ゴジラ

GODZILLA ゴジラ
Godzilla
2014年 アメリカ/日本 123分
監督:ギャレス・エドワーズ

1999年、フィリピンで巨大な怪獣の化石と孵化した卵の痕跡が見つかり、日本の原子力発電所が謎の振動に襲われて倒壊、それから15年後、単独で事故原因の究明を進める原子力発電所の元職員ジョー・ブロディは海軍兵士の息子とともに放射能汚染地域を訪れて事故の原因とその後の隠蔽工作の存在を知り、隠蔽されていた事故原因が巨大怪獣ムートーとなって暴れ始め、ジョー・ブロディの息子フォード・ブロディは怪獣対策に乗り出したアメリカ海軍に拾われてハワイに移動、そこでムートーによる都市破壊とゴジラの上陸を目撃し、ムートーがアメリカ西海岸を目指して動くとゴジラもそのあとを追い、前進するムートーの叫びに答えてネバダでもう一匹のムートーが目を覚ましてラスベガスを襲撃したあと西海岸を目指して北上を始め、一方、最初のムートーとゴジラはサンフランシスコに接近し、フォード・ブロディが再びアメリカ軍に拾われてアメリカに到着したころ、アメリカ軍は三匹をまとめて倒すために核兵器の使用を決定するが、タイマーが起動した核兵器をムートーに奪われるので奪い返さなければならなくなり、またしてもアメリカ軍に拾われたフォード・ブロディを加えて絶望的なHALO降下が敢行され、その真下ではゴジラと二匹のムートーが戦いを始める。 
ゴジラの位置づけは 平成版『ガメラ』に近い。オープニングタイトルは素朴にすばらしいと思ったし、導入部の微妙に香山茂な気配も悪くないし、『モンスターズ/地球外生命体』の低い視点を踏襲しながらあれやこれやと盛り込んで堂々と『三大怪獣 地球最大の決戦』に持ち込んでいくまで、趣味的に作り込まれた贅沢な映像の積み重ねは楽しめる。ただ、二時間の枠に盛り込めるだけ盛り込んだからなのか、映画自体はもっぱら場面の必要に追随していくだけで、構成は正直ではあっても面白みに乏しく、登場人物も概して動きを欠いている。家族の絆のようなものがなにかと前に出てくるのは明らかにうるさいし、そこにいちいち子供がからむところもよくわからない。特に都市破壊のシーンではモダンでリアルで容赦のない表現が取り入れられているため、その背景に飲み込まれる人間に特定のポジションや顔があったりすると(勝手な話だと言えば勝手な話に違いないが、いまどきの表現はいたって自然にむごたらしいので)実は少し抵抗を感じる。つまり怪獣映画のセオリーを守りながら同時にモダンな表現を持ち込んだとき、なぜかそこに付随して現われる無名の大量死をどう扱うかについて一考の余地があったのではあるまいか。確信犯なのか、単に鈍いからなのか、どちらへ振るにしてもところどころに表現上の抜けがあって、そのあたりがどうも収まりが悪い。問題を回避するためには勧告ではなくて命令を出して住民を早めに非難させておくべきであった、という気もする。

2015/03/14 追記:
ビデオで見直したところ、なぜか劇場で見たときよりも視覚的な面で印象が強い。劇場公開時には少々辛口の感想を述べたが、改めて見てみると災厄の描写にはなにかしらの抑制がほどこされており、視野がよく工夫されている。基本的なところで心理的なずれがあったのかもしれない、と考え始めた。 


Tetsuya Sato