1812. Ulanskaya ballada
2012年 ロシア 92分
監督:オレグ・フェセンコン
無謀な青年アレクセイ・タルソフはボロジノに近いナポレオンの本陣に潜入して、そこで裏切り者ド・ヴィットがナポレオン(目貼りを入れている)にロシア軍の配置図を売り渡しているところを目撃するとフランス兵多数を殺害して脱出、たまたまその場にいあわせたヴァレフスカヤ夫人のいとこベアータと恋に落ちてからロシア軍の本陣を逃げ込んで裏切り者の存在をクトゥーゾフ(目貼りを入れている)に報告、タルソフの父を知るクトゥーゾフはタルソフを騎兵に推薦し、たちまち始まったボロジノの会戦でタルソフは三人の仲間とともにフランス軍陣地に突撃をしかけてフランス兵多数を殺害、ナポレオンはモスクワに入城してロマノフ家の宝冠を盗むと護衛をつけてヴァレフスカヤ夫人のもとへ送り出し、それを座視できないと判断したアレクサンドルはタルソフと三人の仲間に密命を与え、ポーランド騎兵の制服に身を包んだタルソフたちはポーランドへ潜入、居酒屋でフランス兵多数を殺害したあと宝冠の護送隊に襲いかかり、罠にはまって単身脱出したタルソフはベアータに救われ、そこにベアータの求婚者でポーランド軍将校のレドコーヴスキが現われ、レドコーヴスキが求婚しているところへド・ヴィットが手勢を率いて現われてレドコーヴスキを殺害、タルソフを捕えるとベアータに求婚し、タルソフの自由と引き換えに結婚を承諾したベアータを連れて城にたてこもったところ、大陸軍はいきなり壊滅してナポレオンはロシアから脱出することになり、それはそれとして間一髪なところを仲間に救われたタルソフはド・ヴィットの城に急いで結婚式の現場に踏み込み、ベアータを人質に取ったド・ヴィットはナポレオンの脱出用飛行船(たぶん水素が詰めてあって、推進装置を備えている)に追いつめられてタルソフと空中で決闘する。
殺陣はそこそこに作り込まれていて、スタントやサーベルの扱いなどはそれなりの見物になっている。ストーリーは王道の戦争冒険物をなぞってはいるものの、二日酔いの頭ででっち上げたような脚本、冴えない撮影、つながらない編集、平らな照明、無用のハイスピードショット、気を抜くために入れているとしか思えない音楽、適当な演出、もしかしたらがんばったのかもしれないけれど残念ながら適当にしか見えないボロジノの会戦、という具合に映画本体はさまざまな難点を抱えている。
Tetsuya Sato