Edge of Tomorrow
2014年 アメリカ 113分
監督:ダグ・リーマン
負けそうになるとリセットして過去に逃げ込んでからまたやり直すというひどくずるいエイリアンが地球に侵攻してきてヨーロッパを占領、イギリスに集結した統合軍はエイリアン占領下のフランスを解放するためにノルマンディー上陸作戦を敢行し、アメリカ陸軍の広報担当で広告屋上がりで実戦経験のまったくないウィリアム・ケイジ少佐は前線の取材を拒んだために戦闘部隊の一兵卒として前線に送られ、乱戦のなかで戦死すると上陸作戦開始の直前に戻され、以降、死んでは時間をさかのぼるということを繰り返しているうちに戦争の英雄リタ・ヴラタスキと出会って自分がはまり込んでいるタイムループの正体を知り、統合軍上層部が頑強に認めようとしない敵の性格を知り、リタ・ヴラタスキの指導のもと、死んではレベルアップする、ということを繰り返しながら敵の本拠地に迫っていく。
ウィリアム・ケイジがトム・クルーズ、リタ・ヴラタスキがエミリー・ブラント、統合軍の将軍がブレンダン・グリーソン、前線降下を指揮する曹長がビル・パクストン、謎を解き明かす科学者がノア・テイラー。いかにも柔弱な様子で現われて何度も無様に死亡しているうちに戦士の顔に変貌していくトム・クルーズが楽しいし、エミリー・ブラントの英雄ぶりもなかなかにすごい。
リセットしても経験値が保持できるのはありがたいけどチェックポイントがかなり前のほうにしかないし、終盤の最終ボス戦にいたってはチェックポイントがまったくないので実際のゲームだったらかなりつらかろう、というようなことを考えながら鑑賞したが、ダグ・リーマンの演出としては珍しく無駄もないしだれ場もないし、ループの繰り返しもリズミカルで、しかもほどよくユーモアがまぶしてある。よく見ればプロットは不自然だが、あくまでもゲーム的な構成を想定して突破すべき障害が最終目標の手前に配置されているだけ、と考えれば一つひとつはきちんと消化されているので格別どうということもない。素材の選択がよかったのか、脚本がうまいのか、密度の濃い映画に仕上がってる。未来兵器によるノルマンディー上陸作戦にはちょっと感動した。