RoboCop
2014年 アメリカ 117分
監督:ジョゼ・パヂーリャ
アメリカ以外の国ではロボットによる警察活動が普及しているというのにアメリカではそれを禁止する法律(ロボットには心がないから)があって警察活動にロボットを導入できない、ということでデトロイトに本社を置くオムニコープ社はアメリカの巨大な市場をにらんで邪魔な法律の廃止を画策し、その一手としてまだ生きている警官をロボットに改造するという計画を立て、たまたま重傷を負ったデトロイト市警のマーフィ刑事に目をつけると夫人の同意を取って大改造をおこなってロボコップとしてデトロイト市警に戻したところ、たちまちのうちに凶悪犯を逮捕して市民の圧倒的な支持を獲得し、おかげでオムニコープ社の議会工作も一段と進展することになるが、ロボコップ/マーフィ刑事が自分が負傷した事件の捜査を始めて、そこから芋づる式に警察内部の腐敗も暴き出してしまうので、政界の反発を恐れたオムニコープ社は議会の動向を横目に見ながらロボコップの抹殺を画策する。
1987年の『ロボコップ』のリメイクで、監督は『ブラジル特殊部隊BOPE』などのジョゼ・パヂーリャ。したがってテイストもヨーロッパ的悪趣味から一転してブラジル式社会派に変わり、背景もB級的に圧縮されたデトロイトではなくて、モダンな諸様相がピックアップされた広い場所になっている。オリジナルに比べると破格の大作だし、視覚的にも厚みがあるし、ジョゼ・パヂーリャの演出も誠実だが、察するに心の問題に注意を払ったせいなのか、ポール・ヴァーホーベンが丹念に埋め込んだ人間固有の鈍感さ(登場人物だけではなくて、実は観客も含めて)が抜け落ちて、『ロボコップ』を『ロボコップ』にしていたものなくなっている。つまり手間のかかった水準以上の映画ではあるが、これは『ロボコップ』ではない。オープニングでベイジル・ポールドゥリスのあのフレーズが流れてこちらに期待は盛り上がるが、エンディングでもう一度流れたときには大きなずれを感じている、というのがたぶんその証拠になるだろう。
ロボコップ/マーフィを演じたジョエル・キナマンはいい仕事をしていて、もともとピーター・ウェラーが嫌いなこちらとしては自然と好感度が高くなる。ゲイリー・オールドマンがロボコップの生みの親、、マイケル・キートンがオムニコープ社のCEO、サミュエル・L・ジャクソンが扇動的なテレビ番組のホスト役で登場する。
Tetsuya Sato