2014年7月2日水曜日

パイオニア

パイオニア
Pioneer
2013年 ノルウェイ/ドイツ/スウェーデン/フランス/フィンランド 106分
監督:エーリク・ショルビャルグ

1980年代、ノルウェイ政府も北海での油田開発に乗り出し、国営の石油公社は洋上リグと本土とを結ぶ石油パイプラインの敷設を進めるためにアメリカの深海工事専門企業から技術導入をおこない、深海500メートルでの作業を前提にダイバーを選抜して実証実験に取りかかったところ、作業中にダイバーの一人ペッターが失神して与圧の調整に失敗し、爆発が起こって同じ現場にいたペッターの兄が死亡、生還したペッターは事件の真相を究明しようと考えて関係各所にあたっていくと情報は隠蔽され、虚偽の証言がおこなわれ、アメリカの会社もノルウェイの政府もなにやら怪しい行動を取り始める。
実話の映画化ということで、国策型大規模公共工事にありがちな主導権争いと利益保護と人命軽視が見ているうちに浮かび上がる。監督は『インソムニア』オリジナル版(未見)のエーリク・ショルビャルグ。演出は生真面目で安定感があって緊張が持続するが、サスペンスにするために主人公の頭を悪くしているような気もしないでもない。とはいえ海底の場面では印象的なショットが多数登場するし、減圧タンク、作業母船、ダイビングベル、水中作業船などの細部が丹念に再現されていて、遠くに見えて曳航されていくだけの洋上リグもたいへんな迫力がある。だから正直なところを言うと陰謀めいた話よりも、ただもう海底でパイプラインを設置するだけ、という内容で見たかった。 


Tetsuya Sato