Austenland
2012年 イギリス/アメリカ 97分
監督:ジェルーシャ・ヘス
13歳で『高慢と偏見』を3章まで暗記して"I LOVE DARCY"のバッグを肌身離さず持ち歩いて部屋は摂政公時代のアイテムまみれというかなり病気なジェーン・ヘイズは三十路を前に周囲の男(ようボーリングしようぜ、と言って尻を叩く)に嫌気が差して、イギリスにあるジェーン・オースティン体験型テーマパーク『オースティンランド』のツアーを申し込むが、いちばん安いツアーだったので「財産も身寄りもない若い婦人」という設定にされて質素な服と使用人部屋をあてがわれ、ホイストの集いからも締め出されて、当然のように出現した「ダーシー様」に出会ってもその高慢な態度に反発するだけだったので庭をさまよううちに厩番に引き寄せられる。
監督のジェルーシャ・ヘスというひとはジャレッド・ヘスの奥さんということで、だとすればご亭主よりもセンスがいいのかもしれない。オースティンランドのまがい物ぶり(馬以外の生き物が全部剥製)とことさらに再現された19世紀初頭風の鈍感さと人物構成のいびつさと、そこへときどきスポットで顔を出す21世紀風の粗暴さがうまい具合に混ざり合っていて、身も蓋もないハッピーエンドぶりも含めてなかなかに楽しい映画になっている。ジェーン・シーモアを久々に見た。
Tetsuya Sato