2016年3月4日金曜日

ガリポリ1915

ガリポリ1915
Canakkale 1915
2012年 トルコ 132分

1915年2月から1915年8月までのいわゆるガリポリの戦いをバルカン戦争で自信喪失の真っ最中にあるトルコ側から扱った作品。序盤のトルコ海軍機雷敷設艦ヌスレットによる機雷投入作戦、英仏連合艦隊とダーダネルスのトルコ軍要塞との砲撃戦、ANZAC入り江での戦い、トルコ海軍駆逐艦ムアヴェネティ・ミッリイェによる戦艦ゴライアス撃沈、軍事顧問オットー・リーマン・フォン・ザンデルス中将の飽くなき不評とどこまでもハンサムなムスタファ・ケマル・アタテュルクへの指揮権の統合、などといったエピソードを要所にはさみながら、わかるでしょ的な感じでなんとなく全体をまとめている。ほぼ「建国神話」なので、登場人物にもほぼ顔はなく、ほぼ全員が同じ形の口ひげをしているので個体識別も困難で、トルコ軍指揮官が兵士を相手に檄を飛ばし、兵士たちは愛国と殉教の精神に燃え、その全員でなにやら悲壮に戦ってはいるものの、CGなどは二昔前のゲームのレベルで、演出も説明に落とそうするばかりで戦闘シーンなどに格別の迫力はない。ただ素材としては非常に珍しいのと、銃器、大砲、砲車などは忠実に再現されていて、戦闘期間を通しての軍服のくたびれ方も妙にリアルで、そういうところは感心した。なお、原題はトルコ側でガリポリを指す『チャナッカレ1915』で、DVDのリリースタイトル『シー・バトル 戦艦クイーン・エリザベスを追え!!』はほぼ意味不明。 


Tetsuya Sato