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「ギュンは仲間になるのを拒んだんだ」とピュンは言った。「魔法玉を山ほど隠し持ってたよ。魔法玉をやけくそみたいにばらまきながらサングラスをかけ替えたんだ。巨人に変身して、デュワっとか叫んで空へ逃げた。原因を作ったのは自分だってのに、手前勝手なおっさんだよ。で、そこにでかい壁があってさ、しばらくしたらその壁のあたりから何かが話しかけてきた。
「わたしは邪悪な黒い力だ」と邪悪な黒い力が言った。「歩く死者たちよ、ここはおまえたちがいる場所ではない。わたし、邪悪な黒い力はおまえたちに命じる。ただちに立ち去れ」
「いきなり呼びつけられて、そりゃないって思った」とピュンは言った。「なんで立ち去らなきゃいけないのか、邪悪な黒い力に聞いたんだ。邪悪な黒い力が言うには、俺たちは堕落してるんだってさ」
「歩く死者たちよ、わたし、邪悪な黒い力は言う。おまえたちは人間の本性の最底辺から生じた悪夢に過ぎない。悪に寄生してはいるが、評価すべき実体はない。言わば人間の残骸であり、不潔で、自堕落で、好ましい向上心も光り輝く創意も備えていない。裏寂れた本能の奴隷であり、真実を希求する意志がない。耳があっても聞こえないし、目があっても見ることはできない。そもそも理解しようとする気持ちがない。わたし、邪悪な黒い力は再びおまえたちに命令する。立ち去れ。ただちにこの場から立ち去るのだ」
「まったく話にならなかった。だから俺たちは壁の割れ目に砂をかけて出ていった。次の町を目指して進んでいくと途中でロボットの軍団と出会った。すっかりロボットになった所長が指揮していた。俺は所長と話し合った。知らない相手じゃなかったしな。で、一緒にいれば互いに役立つこともあるだろうってことで、合流して進むことにした。どうしてそうしたかって? 向上心って奴に促されたんだ。俺たちに創意がないなんて、いったい誰が決めたんだ?」
Copyright ©2015 Tetsuya Sato All rights reserved.
「わたしは邪悪な黒い力だ」と邪悪な黒い力が言った。「歩く死者たちよ、ここはおまえたちがいる場所ではない。わたし、邪悪な黒い力はおまえたちに命じる。ただちに立ち去れ」
「いきなり呼びつけられて、そりゃないって思った」とピュンは言った。「なんで立ち去らなきゃいけないのか、邪悪な黒い力に聞いたんだ。邪悪な黒い力が言うには、俺たちは堕落してるんだってさ」
「歩く死者たちよ、わたし、邪悪な黒い力は言う。おまえたちは人間の本性の最底辺から生じた悪夢に過ぎない。悪に寄生してはいるが、評価すべき実体はない。言わば人間の残骸であり、不潔で、自堕落で、好ましい向上心も光り輝く創意も備えていない。裏寂れた本能の奴隷であり、真実を希求する意志がない。耳があっても聞こえないし、目があっても見ることはできない。そもそも理解しようとする気持ちがない。わたし、邪悪な黒い力は再びおまえたちに命令する。立ち去れ。ただちにこの場から立ち去るのだ」
「まったく話にならなかった。だから俺たちは壁の割れ目に砂をかけて出ていった。次の町を目指して進んでいくと途中でロボットの軍団と出会った。すっかりロボットになった所長が指揮していた。俺は所長と話し合った。知らない相手じゃなかったしな。で、一緒にいれば互いに役立つこともあるだろうってことで、合流して進むことにした。どうしてそうしたかって? 向上心って奴に促されたんだ。俺たちに創意がないなんて、いったい誰が決めたんだ?」
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